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 金融機関は信用を基盤とした社会インフラである。機能不全に陥れば影響は計り知れない。

 みずほ銀行が2月末から3月中旬までの2週間足らずで、4回ものシステム障害を起こした。過去にも2度にわたる重大なシステムトラブルで混乱を招いているだけに、「またか」との思いがぬぐえない。

 日本を代表するメガバンクとして信じがたい失態だ。システムは復旧したものの、根本的な問題の解明はこれからである。親会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)は、第三者委員会と検証委員会を設ける方針を明らかにした。

 銀行、FGの両経営陣の責任は極めて重い。徹底した原因究明と速やかな情報開示がなければ信頼回復は望めない。

 最初のトラブルは2月28日に起きた。全国の現金自動預払機(ATM)の8割が正常に動かなくなり、5千を超えるキャッシュカードと通帳が戻らなくなった。翌日に解消するまでの顧客対応もお粗末だった。報告が相次いでもATMを動かし、多くの利用者を店舗に長時間放置する結果となった。危機管理体制が不十分だったと言わざるを得ない。

 預金口座のデータ移行で、処理能力を見誤って大量の作業をしたためにシステムがパンクしたという。

 その後、3月3日に機器の故障、7日にプログラム更新作業の不具合でATMが再び停止した。12日には機器障害とバックアップ機器への切り替え失敗で、法人客の外貨建て送金が遅れるなどの影響が出た。

 過去のトラブルと比べて深刻なのは、これらが約4500億円を投じて2019年に完成させた新システム下で頻発したことだ。しかもそれぞれが別の要因で起き、直接的な関連は見られないという。

 とりわけバックアップさえできなかったのは見過ごせない。システムを使いこなせていないのではないかとの疑念を持たれても仕方がない。

 みずほ銀行は、3銀行統合で発足した02年4月と東日本大震災が発生した11年3月に大規模障害を起こし、金融庁の業務改善命令を受けた。その反省から基幹システムを刷新し、再発防止に自信を見せていた。

 今月17日になって会見したみずほFGの坂井辰史社長は「新システムへの過信や気の緩みがなかったかも点検する」と述べた。運用する側に問題があったとの認識だろう。

 金融サービスのデジタル化が進んでも、顧客への対応やサポートが重要なのは不変である。システム刷新には、その全容を熟知し、トラブルに適切に対処できる人材を育てる必要がある。再発防止に向け、経営陣には厳しい検証を求めたい。

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