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 7月18日投開票の兵庫県知事選は、保守分裂の選挙となる可能性が高まっている。

 今期限りで退任する井戸敏三知事を11年にわたり副知事として支えた金沢和夫氏が、職を辞して立候補する意向を表明した。

 県議会最大会派・自民党は金沢氏支援を決めたが、会派執行部の方針に反発する県議11人が新会派の結成を届け出た。神戸市出身で総務省から出向中の大阪府財政課長、斎藤元彦氏に立候補を要請している。

 異例の展開をたどる今回の知事選だが、20年ぶりに新しい知事が誕生する機会だ。他にも立候補の動きはあり、5期に及ぶ井戸県政への評価が問われることになる。

 金沢氏は記者会見で「県政には守るべきものと、対応すべき新たな課題がある。県のことを十分に知って、(組織を)束ねて動かす経験がある私が最適任だ」と述べた。

 兵庫県知事はここ4代、計58年間にわたって、旧内務、自治省出身の副知事経験者が務めてきた。金沢氏もその「系譜」に連なる。

 金沢氏は自民の分裂を「大変残念」と話す。これに対し、県議11人をまとめる石川憲幸・党県連幹事長は「議論が尽くされなかった。金沢氏が駄目というわけではない」と執行部の拙速な決定を問題視する。副知事への「禅譲」を批判し、「新たな時代に挑戦する情報発信能力を持ったリーダーが必要だ」と、斎藤氏に「県政の刷新」を期待する。

 分裂選挙に影響を与えそうなのが、日本維新の会の存在である。

 維新は知事選に独自候補を擁立する方針を示してきた。副代表の吉村洋文大阪府知事は、斎藤氏について「政策が一致するのであれば、全面的に応援していく。兵庫県の若いリーダーとして適任だ」と述べた。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、休業要請など強い権限を持つ知事の一挙一動に注目が集まる。コロナ対応では、テレビ出演などの多い吉村知事と比べ、井戸知事の発信力不足などが指摘された。

 「継承」か「刷新」か、スローガンを連呼するだけでは、県民に十分な争点を示したことにはならない。有権者が本当に聞きたいのは、井戸県政を点検し、継承あるいは転換の中身を具体的な政策で示すことだ。

 知事選を巡る保守分裂は近年、各地で相次いでいる。多様な選択肢を有権者に示し、県政への関心を高める好機としなければならない。

 知事の力量が自治体行政を変え、県民の暮らしを左右する。兵庫県も財政事情は厳しい。限られた財源で何を見直し、どの課題に優先して取り組むのか。政策と個性を競い合う論戦を望みたい。

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