社説

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 新型コロナウイルス感染症の再拡大を抑制するため、政府は兵庫、大阪、宮城3府県に「まん延防止等重点措置」を適用すると決めた。改正コロナ特別措置法に基づく対応で、今回が初適用となる。

 兵庫県は神戸、尼崎、西宮、芦屋の4市を対象に指定し、5日から5月5日まで対策に当たる。

 緊急事態宣言が兵庫と大阪で解除されたのはわずか1カ月前だ。再び行動の自粛や営業時間短縮などを余儀なくされる展開に、県民や飲食店からは不安や不満の声が聞かれる。

 ただ、急速な感染再拡大で神戸などでは医療が逼迫(ひっぱく)し始めている。感染力の高い変異株が要因との見方もあり、より強力な予防対策が必要な状況であることは間違いない。

 専門家が指摘するように、今求められているのは、従来の延長線上にない、踏み込んだ取り組みである。「第4波」を防ぐため、政府や自治体は何より新型コロナの封じ込めを徹底しなければならない。

 重点措置は緊急事態宣言に至る前に集中的な対策で感染拡大を抑えるのが目的だ。菅義偉首相も「大きな波にしないために感染を封じ込めていく」と適用の理由を説明した。

 ただ、想定されていたのは国の基準で「ステージ3」(感染急増)の状況である。現実には東京都、沖縄県などでも新規感染者の増加率などが既に「ステージ4」(爆発的感染拡大)の域に達している。

 兵庫と大阪で確認数が突出している変異株も全国に広がりつつあり、実際は緊急事態宣言発令の水準にあると言える。政府の対応は今回も後手に回った印象だ。

 それでも重点措置の適用を求めた自治体の動きに、首相はあまり前向きでなかったという。適用に踏み切ったのは、感染の急拡大が政府の想定を超えていたからとされる。

 さらに、兵庫、大阪などで緊急事態宣言が東京都などより早く解除されたことが再拡大につながったとの見方もある。早期解除が「もう大丈夫」という誤ったメッセージと受け取られたとの指摘もあり、情報発信のあり方を見直す必要がある。

 重点措置で分かりにくいのは、飲食店への営業時間短縮要請などが緊急事態宣言とさほど変わらないことだろう。兵庫の場合、18市町に対して21日まで午後9時閉店を独自に要請しているが、このうち神戸など4市は5日から5月初めまで午後8時閉店の要請となる。丁寧な説明で混乱を回避してもらいたい。

 確かなのは、この段階で歯止めをかけなければ医療崩壊も起こり得るということだ。今が事実上の緊急事態だと、政府や自治体はもっと強く発信すべきである。

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