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 子ども関連施策の司令塔となる「子ども庁」創設の動きが、政府、自民党で活発になっている。菅義偉首相が参院決算委員会で実現に意欲を見せ、二階俊博幹事長に検討を指示した。

 首相は「施策の縦割りを打破し、組織の在り方を抜本的に考えることが必要」と述べたが、唐突な印象が否めない。なぜいま創設する必要があるのか、国民に説明するべきだ。

 子どもを巡る施策は、幼稚園や小中学校を文部科学省が、保育所、障害児施策、児童虐待防止を厚生労働省が担う。少子化対策や認定こども園、幼児教育・保育の無償化は内閣府が所管する。課題によっては法務省や警察庁も関わっている。

 国民には分かりにくい上、調整が必要な施策などでは決定に時間がかかっていた。子ども庁創設はそうした問題を背景に、自民党で少子化対策に取り組む若手議員らが提言した。

 専任の子ども担当相の下に医療や教育、警察など関連施策の調整を担う役所を置くのが柱である。虐待や不登校、教育格差解消のため、政府が情報を一元的に把握するという。

 新型コロナウイルスの感染が広がる中、子どもの貧困や自殺は深刻だ。未来を担う世代の課題を優先し、既得権益を廃して省庁縦割りの弊害を解消するための改革は欠かせない。

 だが気になるのは、子ども庁を衆院選向けのアピール材料にしたいとの思惑が透けて見えることだ。聞こえがよく、首相が掲げる「縦割り打破」のキャッチフレーズにも沿う。選挙の目玉公約として、突貫工事で器だけを作るようでは困る。

 実際に創設するとなれば課題は多い。新たな役所が子どもの貧困や障害児、虐待などを包含するとした場合、カバーする年齢や学校によっては、対応に別の縦割りが生じる恐れがある。

 新しい組織の役割や権限の在り方などについて、現場の声に耳を傾け、議論をより深める必要がある。

 子ども庁は、中央省庁の再編につながる大がかりな仕事である。単なる選挙対策にすぎないのか、役所の既得権益にメスを入れるところに踏み込むのか。菅政権の覚悟が問われることを忘れてはならない。

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