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 菅義偉首相が就任して初の国政選挙となった衆院北海道2区と参院長野選挙区の補欠選挙、参院広島選挙区再選挙は、候補擁立を見送った北海道を含め、自民党が全敗した。

 三つの選挙では、菅政権半年の評価や「政治とカネ」の問題、政府の新型コロナウイルス対策が主な争点となった。有権者が突きつけた政権への厳しい審判を、首相は深刻に受け止めるべきである。

 有権者が望んだのは、安倍晋三前政権から続く「政治とカネ」へのけじめだった。

 広島は参院選を巡る大規模買収事件で有罪が確定した河井案里前参院議員の当選無効、北海道2区は鶏卵汚職事件で在宅起訴された吉川貴盛元農水相の議員辞職に伴う選挙だ。いずれも離党したものの、自民党に残る旧態依然の金権体質に対する批判に、党総裁でもある首相が真摯(しんし)に向き合ってきたとは言い難い。

 広島では、前回参院選で案里氏が夫の河井克行元法相(衆院議員を辞職)と共謀し、多数の県議や首長らに現金を配った。選挙前に党本部から夫妻側に1億5千万円が渡ったが、使途に関する疑念は晴れないままだ。自民党は真相究明どころか、二階俊博幹事長が「他山の石として」と人ごとのような発言をするなど、国民の政治不信を払拭(ふっしょく)しようという姿勢はまるで見られなかった。

 新型コロナウイルスへの対応も結果に影響を与えたとみられる。

 ワクチン接種が進まないなか、感染「第4波」が襲い、多くの人が生活に不安を抱える。場当たり的な対応が続き、3度目の緊急事態宣言発令に追い込まれるなど、医療の逼迫(ひっぱく)解消へ有効な手だてを示せない政権への強烈な不信の表れだろう。

 秋までに衆院選と自民党総裁選が控える。首相の求心力が低下するのは避けられず、衆院の解散時期を巡る判断や総裁選での再選戦略などに影響が及ぶのは必至だ。

 日本学術会議の新会員任命拒否、首相の長男らによる総務省幹部接待など解決していない問題も多い。首相や与党は、謙虚な政権運営を改めて肝に銘じるべきである。

 一方、野党側も課題を残した。立憲民主、共産、国民民主、社民の各党は野党「統一候補」で臨み全勝したが、長野では共産の協力を巡り混乱もあった。次期衆院選で共闘を進めるには、候補の一本化や共通政策など緊密な協力態勢が急がれる。

 喫緊の課題は新型コロナウイルスの収束である。ワクチン接種を着実に進め、感染防止策と経済活動のバランスを取る。与野党ともにそのための具体策を明示し、国民の不安解消と政治への信頼回復に全力を尽くさねばならない。

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