社説

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 新型コロナウイルス対策で、9都道府県に出されている緊急事態宣言の期限が5月末から6月20日まで延長された。兵庫、大阪、京都、東京の4都府県は再延長となる。

 感染力の強い英国型変異株の拡大で全国の感染者数は高い水準で推移し、減少のスピードが鈍っている。重症者も1300人を超える。宣言の対象自治体では、多くの指標で最も深刻な「ステージ4」(爆発的感染拡大)から脱却できていない。

 兵庫県では、きのう確認された新規感染者数は29人と1週間前を大きく下回ったものの、病床使用率は50%台後半、重症病床は60%台後半といずれも高止まりが続く。

 医療が依然として危機的状況なのは明らかだ。感染への甘い見通しと中途半端な対策で、宣言の再延長に追い込まれた政府の責任は重い。

 菅義偉首相は会見で「これからの3週間は感染防止とワクチン接種の二正面作戦の成果を出す大事な期間だ」と訴えた。だが効果が不十分だった1カ月の措置に代わる具体策は示されず、ワクチンが唯一の頼みの綱になっていることは否めない。

 これに対し、政府の専門家分科会の尾身茂会長は「ワクチンですぐに感染が下火になるという幻想は抱かないほうがいい」と指摘する。接種が進み、状況が改善している英国やイスラエルでは厳格な規制を併せて実施したことを思い出したい。

 ところが再延長に伴い、兵庫県などは営業時短や休業要請を一部緩和した。繁華街で人出が再び増加する傾向がある中、感染防止策に一貫性がないように見える。住民が理解できるような丁寧な説明を求めたい。

 いま最も警戒されるのは、感染力が従来株の2倍以上ともされるインド由来の変異株だ。兵庫でも陽性者が確認されており、専門家も「(国内でも)置き換わる可能性はかなり高い」と懸念を強める。

 全国知事会は国への緊急提言をまとめ、インド株の封じ込めに向け、検査体制と水際対策の強化を要求した。ベトナムで見つかった新たな変異株も含めて対応が急がれる。

 宣言の延長が繰り返され、市民生活や経済活動の疲弊は限界に近づいている。政府は困窮した事業者や個人への経済支援もためらわずに拡充せねばならない。

 宣言の期限は東京五輪の開幕1カ月前だ。しかし解除については「五輪ありき」の判断は許されない。各指標がどうなれば解除するのか。解除後の感染対策や検査体制をどうするのか。科学的な裏付けは欠かせない。政府と自治体は緊密に連携して情報を分析し、明確な出口戦略を打ち出すべきだ。

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