社説

  • 印刷

 選挙区内の有権者への現金配布疑惑を巡り、前経済産業相の菅原一秀衆院議員=自民離党=が辞職した。公職選挙法違反(寄付行為)の罪で近く略式起訴される見通しだ。

 「政治とカネ」に絡む自民党議員の辞職は、収賄罪で在宅起訴された吉川貴盛元農相、参院選広島選挙区の巨額買収事件を巡り公選法違反の罪に問われた河井克行元法相と有罪が確定した妻の案里元参院議員に続き、この半年で4人に上る。党として処分もせず、自浄能力を発揮しない自民党の責任も極めて重い。

 菅原氏は、菅義偉首相の側近として知られる。官房長官だった菅氏の後押しもあり2019年9月に初入閣。直後、選挙区内の有権者に秘書が香典を渡したと報じられ、経産相を辞任した。検察は起訴猶予としたが、検察審査会の「起訴相当」との議決を受け、再捜査していた。

 菅原氏には、地元行事の際、祝儀や会費の名目で主催者らに現金を配った疑惑も浮上している。

 罰金以上の刑が確定すれば、衆院議員を失職し、公民権停止で5年間は立候補できなくなる。追い込まれた末の議員辞職であり、遅きに失したと言える。

 菅原氏は国会などに姿を見せず、記者会見も開いていない。国民への説明責任を果たすことなく、幕引きを図ることは到底許されない。

 今回の辞職には、25日告示の東京都議選や、秋までにある衆院選を前に、政権への打撃を抑えたい首相官邸や党の思惑もあるとみられる。

 耳を疑うのは、相次ぐ不祥事に関して、二階俊博幹事長が「政治とカネはずいぶんきれいになってきている。国民にも評価していただいてしかるべきだ」と述べたことだ。選挙に金がかかるのは有権者に問題があると受け取れる発言もあった。反省のなさにあきれるほかない。

 参院選広島選挙区の買収事件を巡っても、党本部が河井案里氏の陣営に提供した1億5千万円の問題が解決していない。落選した現職の10倍に当たる額で、買収の原資となった疑惑が残る。うち1億2千万円は税金が元手の政党交付金である。

 二階氏は「私は関係していない」と述べるなど、幹部同士が責任を押しつけ合う醜態をさらした。その後一転して当時の安倍晋三総裁と自身に責任があるとの認識を示したが、資金提供の経緯や使途について納得のいく説明はない。

 地元県連の反対を押し切り案里氏の擁立を主導した安倍氏が巨額の支出を知らなかったとは考えにくい。国民に真相を明らかにすべきだ。

 首相も無関係ではない。総裁として事実の解明を指示し、信頼回復に指導力を発揮しなければならない。

社説の最新
もっと見る
 

天気(8月3日)

  • 31℃
  • 28℃
  • 50%

  • 31℃
  • 25℃
  • 70%

  • 32℃
  • 26℃
  • 70%

  • 30℃
  • 27℃
  • 80%

お知らせ