社説

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 菅義偉首相の就任後初の党首討論がきのう、国会で開かれた。一昨年6月以来の首相と野党党首による直接対決の場である。新型コロナウイルス対策や東京五輪・パラリンピック開催の是非などがテーマとなったが、論戦はすれ違い、国民の不安や疑問に答えるには程遠かった。

 コロナ対策では、立憲民主党の枝野幸男代表が緊急事態宣言について「3月の解除が早すぎた。第5波は絶対防がねばならない。同じ間違いをしないために基準を厳しくすべきだ」と追及した。首相は「ワクチン接種が切り札だ」とした上で、「10月から11月にかけて、希望する国民には全て(打ち)終えることを実現したい」と表明した。

 枝野氏は、首相に五輪開催の前提をただした。これに対し、首相は「国民の命と健康を守るのが私の責務だ。できなければ、開かないのは当然だ」と従来の説明に終始した。

 開催できる基準や具体的な感染防止策についても正面から答えず、聞かれてもいない1964年の東京五輪の思い出話に時間を費やした。

 五輪開催による感染拡大や医療逼迫(ひっぱく)のリスクをどう考えているのか。緊張感に欠け、国民の命を守る覚悟がどこまであるのかが見えてこなかった。

 緊急事態宣言の度重なる延長により、飲食業者らの困窮が深まっている。野党は必要な支援が行き渡っていないとして30兆円規模の大型補正予算の編成を迫ったが、首相は「前年度の予算の繰り越しや予備費を着実に執行していく」とかわし、議論はかみ合わなかった。

 枝野氏はコロナ対策や、自民党が提出を見送ったLGBT法案など積み残した課題が多いとして、16日に会期末が迫る国会の大幅延長を求めた。首相は「国会で決めていただきたい」と取り合わず、衆院解散・総選挙についても「新型コロナ対策を最優先する」と言及を避けた。

 論戦の低調さは開催方法にも問題がある。討論は全体でわずか45分間だ。それを野党間で分け合うため、日本維新の会、国民民主党、共産党の持ち時間は各5分にすぎない。

 国民の期待に応える党首討論にするには、時間の延長や開催頻度の増加、テーマを絞るなど、与野党で在り方を根本的に見直す必要がある。

 東京五輪の開幕まで1カ月半を切った。コロナ禍は感染の第5波を防げるかどうかの正念場にある。首相は、国民の不安や疑問に真摯(しんし)に向き合い、解決策を示す責任がある。政府、与党は野党の要求に応じ、国会を延長すべきだ。

 秋までにある衆院選に向け、有権者に判断材料を示すための議論を深めねばならない。

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