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 学校法人森友学園への国有地売却を巡る決裁文書改ざん問題で、一連の経緯を記録した「赤木ファイル」を、国がようやく開示した。

 改ざんに加担させられたことを苦に自ら命を絶った元財務省近畿財務局職員、赤木俊夫さんが残した文書だ。夫の死の真相を知りたいと、妻雅子さんが国などに損害賠償を求めた訴訟で、原告側が提出を求めていた。国は存否すら長く曖昧にしてきたが、大阪地裁に促されて応じた。

 開示された文書や記録などは518ページに及び、同省理財局と近畿財務局などとの間で交わされたメール約40通などが含まれている。

 公文書改ざんは民主主義の根幹をゆがめる不正である。赤木さんはファイルの「備忘記録」で、当時の佐川宣寿(のぶひさ)理財局長から「国会答弁を踏まえた修正を行うよう指示」があったが、「決裁済みの調書を修正することは問題があり行うべきではないと強く抗議した」と記している。現場の反対を無視して改ざんを強要する財務省の姿が浮かび上がる。

 森友学園への国有地売却では、8億円余りもの値引きをした過程で、安倍晋三前首相夫人の昭恵氏の関与が疑われた。安倍前首相が「私や妻が関わっていれば、総理も国会議員も辞める」と国会で答弁した直後に改ざんが始まっている。

 赤木さんが改ざんに初めて関わった2017年2月26日、本省は「開示請求があった際のことを踏まえると、削除した方がいいと思われる」とメールを送った。赤木さんはこれらをファイルに整理していた。

 財務省が18年6月に公表した調査報告書は、佐川氏が「方向性を決定づけた」としたが、指示の有無や詳細な動機には触れていない。

 開示されたファイルは、理財局や近畿財務局の職員名など約400カ所が黒塗りされており、不正の指揮系統がはっきりしない。十分な情報開示とは言えず、佐川氏が具体的にどのような指示を出し、なぜ職員に改ざんをさせたのかなど問題の核心は解明されないままだ。真相究明には佐川氏ら関係者が法廷や国会など公の場で語ることが欠かせない。

 大阪地裁はこの訴訟でファイルの証拠採用を決めた。裁判所の訴訟指揮によって非開示部分を可能な限り開示させてほしい。

 国会も閉会中審査で全容を徹底解明する必要がある。雅子さんは「夫が誰に何を指示されたのか知りたい」と第三者による再調査を求めるが、麻生太郎財務相は「考えていない」と拒否した。疑惑は深まるばかりであり、政府の責任で調査を尽くすべきだ。公務員としての誇りと良心をファイルに託した赤木さんの遺志を無駄にしてはならない。

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