社説

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 東海、関東南部を襲った記録的な豪雨で、静岡県熱海市では大規模な土石流が発生し、多くの死者、安否不明者が出ている。現場は山と海が近い急傾斜地で、大量の土砂が2キロ下流の海まで流れ着いた。

 少なくとも130棟ほどが被害に遭ったとみられるが、全容は把握できていない。発災から72時間が迫り、命を守る活動が急がれる。警察、消防は自衛隊と連携し、救助と捜索に全力を尽くしてほしい。

 土石流が起きた現場周辺は、海岸近くの急斜面に多くの住宅などが立つ。静岡県が土砂災害警戒区域に指定していた。こうした地形は神戸をはじめ全国各地にあり、災害リスクへの対応が課題とされている。

 当時、活発な梅雨前線が停滞し、静岡県や神奈川県の上空に発達した雨雲が次々と流れ込んでいた。

 気象庁は土石流発生の前日から、熱海市に土砂災害警戒情報を発表していた。これは5段階の警戒レベルで4に相当し、自治体が対象地域の全住民に緊急避難を呼び掛ける「避難指示」を発令する目安とされる。

 だが熱海市はレベル3相当の「高齢者等避難」を出した後、「避難指示」には引き上げなかった。レベルが最も高い「緊急安全確保」としたのは土石流の発生後だ。市長は判断について「(落ち度が)全くないとは言えない」と述べている。

 改正災害対策基本法が5月に施行され、「勧告」と「指示」の一本化など早期避難を促す新たな避難情報の運用が始まった。今後の防災に生かすためにも、今回の発令が適切だったのか、住民の避難行動にどう影響したかなどの検証を求めたい。

 土石流発生の原因究明も重要だ。県によると、発生源付近には宅地造成による盛り土があった。山の保水能力が落ち、盛り土が崩落したとの専門家の見方がある。造成が原因ならば開発規制も検討すべきだろう。

 豪雨災害が毎年のようにこの時期にある。1年前の九州豪雨では、熊本県の球磨川の氾濫などで81人が命を落とした。3年前は平成最悪の犠牲者を数えた西日本豪雨、4年前は九州北部豪雨で甚大な被害が出た。

 身を守るには、自宅などが「土砂災害警戒区域・特別警戒区域」に指定されているかどうかを知っておく必要がある。都道府県や市町のハザードマップ、土砂災害の危険性を示す気象庁のサイト「キキクル(危険度分布)」などで確認できる。

 何より、早めの避難行動が欠かせない。避難所で密集すると新型コロナウイルスへの感染が心配されるため、安全な場所に住む知人や親戚宅などを頼ることも考えたい。広域の分散避難に対応する支援策に、国や自治体は連携して取り組むべきだ。

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