社説

  • 印刷

 衆院選の前哨戦とされる東京都議選は、自民党が第1党を奪還したものの、選挙協力した公明党と合わせても過半数に届かなかった。都内で新型コロナウイルス感染再拡大の傾向が見える中、ワクチン接種の遅れや東京五輪・パラリンピックへの対応など、菅義偉首相の政権運営に対する厳しい評価が示された形だ。

 これまでも都議選の結果が、その後の国政選挙に影響を与えてきた。首相の求心力低下は避けられず、衆院解散・総選挙に向けた戦略の見直しを迫られる可能性がある。

 前回2017年の都議選では、小池百合子知事が率いた地域政党「都民ファーストの会」が躍進し、自民は歴史的大敗を喫した。

 今回、小池知事は態度を明確にしないまま、告示前に過度の疲労を理由に入院した。昨年の知事選で自民から事実上の支援を受けており、関係改善への配慮との見方もあった。

 ところが小池知事は投開票前日、都民ファ候補を激励して回った。その後押しもあり、都民ファは議席は減らしたが、僅差での第2党を確保した。公明は全員当選したものの、議席回復をもくろんだ自民は政権交代につながった09年の都議選を下回り、「敗北」と言っていい状況だ。

 五輪の在り方について、自公は争点化を回避した。これに対し、大会中止や再延期、無観客開催などを支持する政権批判票が、都民ファなどに集まったことがうかがえる。

 都内のコロナ感染状況は予断を許さない。長引く時短、休業要請などで事業者らの疲弊は限界に達している。自公がワクチン接種の加速を訴える中で供給不足に陥る混乱も生じた。こうした政府対応への不満も投票行動に表れたと言える。

 首相は結果を「謙虚に受け止める」と述べたが、うわべの言葉では済まされない。国民の不安に応えようとしない政権への不信感は根強い。それを肝に銘じ、五輪やコロナ対応を巡る「安全・安心」の具体策を東京都と連携して明確に示すべきだ。

 立憲民主党は共産党との候補者調整が奏功し議席を増やしたが、公明や共産にも及ばなかった。民意の受け皿としては力不足と言わざるを得ない。

 都政の課題は少子高齢化、財政や経済の立て直し、首都直下地震への対応など多岐にわたる。にもかかわらず、投票率が過去2番目に低い42・39%にとどまったのは残念だ。

 共同通信の出口調査では、無党派層の4分の1が都民ファに投票したとみられる。その支持動向は衆院選でも焦点となるだろう。与野党ともに民意と真摯(しんし)に向き合い、政権選択の判断材料となる具体的な政策論争を展開しなければならない。

社説の最新
もっと見る
 

天気(9月27日)

  • 29℃
  • ---℃
  • 10%

  • 29℃
  • ---℃
  • 10%

  • 29℃
  • ---℃
  • 10%

  • 29℃
  • ---℃
  • 0%

お知らせ