社説

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 法の公正性を欠いた判断に、疑問を抱かざるを得ない。

 2019年の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、東京地検特捜部は、公職選挙法違反(買収など)の罪で実刑判決を受けた元法相で前衆院議員の河井克行被告から現金を受け取ったとして同法違反(被買収)容疑で告発された地元議員ら100人全員を不起訴とした。

 東京地検は「受領者はいずれも受動的で、一定の者を選別して起訴することは困難で適切ではない」と説明した。元法相側が強引に現金を渡すなど、受け取った側の悪質性は低いと判断したとする。

 しかし、公選法には被買収側も罪に問う規定があり、過去の同様の事件では多くが処分されている。一律不起訴は極めて異例で、今後の選挙違反事件の捜査にも支障が出かねない。検察側は一人一人の不起訴の理由を説明しなければならない。

 判決によると、元法相は妻案里氏=有罪確定=の初当選を目指し、地元議員や首長ら44人、後援会関係者50人、選挙スタッフ6人の計100人に計約2870万円を配った。最高で300万円を受け取った人もいる。

 現金を手にした首長や地方議員の大半は今も職にとどまっている。受動的であっても、金の力で選挙を動かすのは民主主義の根幹である選挙の公正さを著しく損なう。このまま不問に付されれば、政治への信頼は地に落ちる。事件で河井夫妻は国会議員を辞職した。受け取った側も道義的責任は免れず、政治家としてけじめをつける必要があるのではないか。

 元法相は懲役3年の実刑判決を不服として控訴した。先の裁判で弁護側は、現金を渡された地元議員らが刑事処分されていないのは、検察の意に沿う供述をすれば起訴しない「裏取引」があったからだと主張した。控訴審でも捜査の手法が争点となるとみられる。

 刑事告発した広島市の市民団体は不起訴を不服として、検察審査会に審査を申し立てる意向だ。菅原一秀前経済産業相の選挙違反事件など、最近は審査会が検察の不起訴の判断を覆すケースが続く。検察はあしき前例を残さぬよう、国民が納得できる判断をしなければならない。

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