社説

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 全国の公立学校や幼稚園の約3割に当たる約1万1千校が立地する場所で、豪雨時に浸水や土砂災害の恐れのあることが、文部科学省の初の調査で明らかになった。

 梅雨時期から秋にかけて、毎年のように大規模な水害や土砂崩れが各地で起き、多くの学校園が浸水している。対策の重要性は増す一方だ。児童や生徒らの命を守るとともに、災害時の避難場所でもある学校の安全確保へ、ソフト、ハードの両面から備えを急がねばならない。

 調査は、小中高校や幼稚園など全公立学校3万7374校を対象に実施した。昨年10月時点で、河川氾濫や高潮で被害の恐れがある浸水想定区域にある学校が20%、土砂災害警戒区域にあるのは11%、両方に該当する例も1%強あった。兵庫県はそれぞれ17・6%と13・7%だった。

 区域内にある学校では、改正水防法などで避難確保計画の作成が義務付けられているが、2割前後が未作成だ。計画に基づく避難訓練も3割前後で実施されていない。

 自治体などは、未着手の学校に取り組みを始めるよう促し、専門家を派遣するなどの対応を進めてもらいたい。計画が作成済みであっても、子どもの年齢や地域の実情に見合った内容になっているかなど、定期的な点検、更新が不可欠だ。

 台風や大雨など状況に合わせて、休校にしたり、在校中の児童や生徒を校内にとどまらせたりと、臨機応変な対応が必要な場合もある。

 幼稚園や特別支援学校などには自力避難が難しい子もいる。適切な行動を取るには、普段から学校と地域や家庭、自治体が連携して施設や通学路の災害リスクを把握しておく準備が大切だ。想定される浸水の深さを知っておけば、校舎から出ずに上の階に逃げる「垂直避難」が可能かどうかの判断にもつながる。

 日頃の備えや適切な避難行動について授業で取り上げるなど、防災教育の充実も期待される。教職員と自治体の防災担当、消防などとの情報共有も進めたい。

 調査では、気象災害が激しさを増す中、施設面の整備になかなか手が回らない現状も浮かび上がった。

 浸水区域内で校舎や体育館への止水板設置、電気設備の浸水防止策を済ませた学校は15%にすぎない。文科省は「学校の耐震工事はほぼ完了したため、今後は水害への備えを充実させる」としている。工事に関連する補助金の拡充に向けて、政府内で協議を進める方針だ。

 住民らの避難先でもある学校の安全性を向上させることは、地域の減災にもつながる。国や自治体は、学校園の防災対策が速やかに進むよう支援に力を入れてほしい。

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