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 東京五輪の柔道男子66キロ級の阿部一二三(ひふみ)選手(神港学園高-日本体育大出身)と妹で女子52キロ級の阿部詩(うた)選手(日体大、夙川高出身)がきのう、2人そろって優勝を果たした。

 五輪での日本の「兄妹金メダル」は史上初で、日本勢の女子52キロ級の金も初めてだ。新型コロナウイルスの影響で無観客試合となる中、23歳と21歳の2人が努力と信念でつかんだ栄冠である。兵庫県出身選手の快挙を心からたたえたい。

 兄の一二三選手は順調に勝ち上がり、決勝ではジョージアのマルグベラシビリ選手を圧倒し、大外刈りで技ありを奪い快勝した。詩選手も初戦から躍動し、決勝でもフランスのブシャール選手を相手に、延長戦の末に崩れけさ固めで一本勝ちした。

 試合後、一二三選手は「落ち着いて冷静に自分の柔道ができた」と喜び、詩選手も「この大会を目指してきた努力が報われた」と笑顔を見せた。混迷を深める五輪への熱が高まらない中、見る者の心を晴れやかにさせる戦いぶりだった。

 きょうだいは神戸市兵庫区の出身だ。兄は6歳から、妹は兄を追うように5歳で柔道を始め、兵庫少年こだま会で競技に親しんだ。

 一二三選手は、消防士で元競泳国体選手の父浩二さんとのトレーニングで体幹を鍛えたという。高校2年のとき、男子史上最年少の17歳2カ月で講道館杯全日本体重別選手権を制覇し、大学3年の2018年、21歳で世界選手権を2連覇した。

 詩選手も、攻めに徹する豪快な柔道で日本と世界の頂点を一気に極めた。高校3年で初出場した世界選手権では、5試合全て一本勝ちで優勝し、19年に2連覇した。

 しかし五輪出場への道は平たんではなかった。一二三選手はライバルの丸山城志郎選手に3連敗し、19年世界選手権での3連覇も逃した。

 コロナ禍のため、五輪代表は昨年12月の1試合限定「ワンマッチ」方式で決めることになった。一二三選手は24分間の死闘の末、丸山選手に優勢勝ちした。逆境をはねのける精神力は金メダルにもつながった。

 昨年2月に五輪代表を決めた詩選手は、金メダルへ順風満帆だったように見える。だが試合について「ほんとに怖くて」と内心を吐露したこともある。ここまでの道程は重圧との戦いの連続だったに違いない。

 大会の1年延期などコロナ禍の影響は小さくはなかった。畳から離れた時期は走り込みなどで鍛錬を重ねた。2人で支え合ってつかんだメダルはひときわ輝きを増す。五輪について詩選手は「人生を懸ける場所」と語った。一二三選手は「五輪4連覇」への挑戦を掲げる。今後の世界での活躍が楽しみでならない。

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