社説

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 新型コロナウイルスの感染者が東京で過去最多となった。豪雨災害も起きている。国民の不安をどう受け止め、命と暮らしを守るのか。菅義偉首相は速やかに臨時国会を開き、説明責任を果たさねばならない。

 立憲民主、共産、国民民主、社民の野党4党は、憲法53条に基づく臨時国会の召集を内閣に要求した。

 53条は、衆参いずれかの4分の1以上の議員が求めれば、内閣は召集を決めなければならないと定める。だが自民党の森山裕国対委員長は開催中の東京五輪を念頭に、「一大イベントに集中したい」と否定的な見解だ。政権の姿勢は憲法の規定を死文化させる危うさをはらむ。

 与野党は代わりに28、29の両日、衆参両院で内閣委員会の閉会中審査を開く。政府への批判を強める野党は、五輪閉幕後に大会を総括する集中質疑の開催も求める。

 政府、与党は、先の通常国会を6月16日に閉じた。大幅な会期延長を求めた野党の声を受け入れず、一部の委員会が閉会中審査を開いたものの首相は出席していない。

 規制や自粛を伴うコロナ対策では国民の理解と協力が欠かせない。しかし明らかになったのは、政権の強権的、場当たり的な対応だ。

 政府は飲食店の酒類提供を規制するために酒の販売事業者に取引停止を要請し、激しい批判を浴びて撤回した。金融機関から飲食店への働きかけ要請を撤回したのに続く迷走である。対策の「切り札」とするワクチンの供給を巡っても、見通しの甘さから自治体や職場の接種が停滞を余儀なくされている。

 首都圏では変異株が猛威を振るい「第5波」とも言われる。緊急事態宣言下で開催に踏み切った五輪を機に感染がさらに拡大すれば、医療が逼迫(ひっぱく)する恐れがある。開幕目前に開会式の演出担当がユダヤ人大量虐殺をコントの題材にしたとして解任されるなど、人権上重大な問題も相次いだ。大会組織委員会による人選の経緯など検証が必要だ。国会で議論すべき問題は山積している。

 国会審議に消極的な姿勢は、安倍前政権でも際立っていた。4年前には今回と同様の要求を3カ月以上放置した上、召集した臨時国会の冒頭で衆院を解散してしまった。

 この対応を巡り、国会議員らが起こした裁判で、那覇、岡山両地裁の判決は、違憲かどうかは判断しなかったが、内閣には合理的な期間内に召集に応じる憲法上の義務があると明言した。これ以上、政府が無視を決め込むことは許されない。

 新たな課題に遅滞なく対応し、不測の事態に備えるためにも、国会による行政監視は不可欠だ。首相は議論から逃げてはならない。

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