社説

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 新型コロナウイルスの感染が急拡大している。新規感染者はきのう、緊急事態宣言発令中の東京都で過去最多の3865人となり、全国で初めて1万人を超えた。感染は地方にも波及している。かつて経験したことのない勢いである。

 専門家は「東京では医療提供体制の逼迫(ひっぱく)が始まり、危機的な状況になりつつある」との見解を示した。

 関西の新規感染者も大阪府で千人に近づき、兵庫県でも280人になるなど増加ペースが加速している。政府は埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県に緊急事態宣言を追加発令する方針を固めた。兵庫県などには、まん延防止等重点措置を適用する。

 ただ、宣言が歯止めになっていないのが現状だ。政府は自治体と連携して、実効性のある対策を練り直さねばならない。

 懸念されるのは感染力の強いデルタ株の広がりだ。加えて東京五輪の開催や夏休みが重なり、人出が十分には減っていない。お盆の帰省などによる全国的な感染爆発は何としても防がねばならない。

 政府の対策分科会の尾身茂会長は「大変な危機感を感じている。今の感染を下げる要素があまりない」と参院内閣委員会で訴え、政府に対して、「自粛疲れ」にある国民に向けた強いメッセージ発信を求めた。

 ところが菅義偉首相は、ワクチン接種の効果を強調し「人の流れは減っている」と繰り返すのみだ。感染拡大と五輪との関係も否定するが、大会の開催そのものが、行動を緩めてもよいという誤ったメッセージとなっているのではないか。これでは感染対策への協力を得るのは難しいと言うしかない。

 尾身氏も五輪を巡り「期間中に感染拡大を防ぐためにすべきことを全力で行うのが政府、大会組織委員会の当然の責任」とした。これに対する政府の対応は十分とは言い難い。

 首相が頼みの綱とするのはワクチン接種の促進だ。確かに接種が進んだ高齢者の感染割合は減っているものの、感染者が急増すれば一定の割合で重症者数も増える。何より肝心のワクチン供給が不足し、接種が停滞している事態は深刻だ。

 兵庫県では病床使用率が29・4%で、うち重症病床使用率は16・0%となった。これが一気に悪化することもあり得る。最大限の危機感を持って対応しなければならない。

 県は飲食店などへの営業、酒類提供の時短要請を延長し、新たに姫路など3市2町は1時間繰り上げる。こうした対策の効果を十分に検証する必要がある。

 政府はワクチン頼みの楽観論を改め、国民への丁寧な説明と対策の立て直しに全力を尽くすべきだ。

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