社説

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 24日に開幕する東京パラリンピックの観客の扱いについて、政府、東京都、大会組織委員会、国際パラリンピック委員会(IPC)が4者協議を開き、東京、埼玉、千葉、静岡の1都3県の全会場を原則無観客にする方針を決めた。首都圏では東京五輪に続いての無観客開催となる。

 東京都と埼玉、千葉両県には新型コロナウイルスの緊急事態宣言が出されており、静岡県にも20日に発令される。新規感染者数が爆発的に増えるなど感染の「第5波」が拡大し、厚生労働省の専門家組織は「もはや災害の状況に近い」と指摘している。観客を入れての開催は困難との判断は当然である。

 感染状況を踏まえれば、観客の有無ではなく、開けるかどうかから議論し直す必要がある。国民の反対論は根強く、政府などは「安全、安心な大会」の根拠を示すべきだ。

 一方、子どもたちに観戦機会を提供する「学校連携観戦プログラム」は教育的意義が大きいとして、自治体や学校が希望すれば実施される。

 五輪での同プログラムは宮城、茨城、静岡県以外では中止された。多様性の理解を深める意味があるとはいえ、五輪開催時よりも悪化した感染状況での実施は理解に苦しむ。変異株は若い世代にも広がっている。専門家や学校現場の意見も聞き、慎重に判断してもらいたい。

 五輪では無観客となった会場周辺に人が集まる場面が見られた。パラリンピックでも同様の状況が生じかねない。感染が深刻化し、医療がさらに逼迫(ひっぱく)する事態になれば、競技の縮小や大会の中断を決断すべきだ。

 懸念されるのは、選手らの健康と安全が守れるかどうかである。

 パラリンピックには、世界各地から最大で約4400人の選手が参加する。基礎疾患のある人も少なくない。コロナに感染した場合、重症化するリスクは大きく、五輪以上に万全の対応が求められる。

 猛暑が五輪でも問題視された。例えば車いすの選手は立っている場合よりも体感温度が高くなるという。主催者側は試合時間の変更など、最善の対策を尽くしてほしい。

 五輪では閉会式までに計436人の陽性者が確認された。組織委は「比較的少なく、対策は機能した」と自賛するが、選手村ではクラスターの発生や関係者に規則違反が続出するなど、選手らを隔離する「バブル方式」にほころびがあった。どんな経緯で陽性となったのか、規則違反の処分は適切になされたのかを分析し、対策を見直す必要がある。

 政府には、国民と選手の命と健康を守る重い責務がある。パラリンピックを断行する以上、改めて肝に銘じてもらわねばならない。

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