社説

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 新型コロナウイルスの感染「第5波」の急拡大で、自宅療養者が急増している。全国では10万人に迫り、1カ月足らずで10倍ほどになった。兵庫県内でも初めて4千人を超え、感染者の6割が自宅療養という厳しい事態に陥っている。

 首都圏を中心に、入院先が見つからず自宅で亡くなる事例も相次ぐ。まさに「災害級」の事態である。

 千葉県柏市では感染して療養中の妊婦が、受け入れ先の病院が見つからないまま自宅で早産し、赤ちゃんが亡くなるという事案が起きた。

 妊婦が出産した当日、症状悪化を受けて県や市などが入院先を探したが、少なくとも9カ所の医療機関に断られたという。救急隊が駆けつけたとき赤ちゃんは心肺停止状態で、病院で死亡が確認された。生まれたときは息をしていたという。

 あまりの痛ましさに言葉を失う。妊婦の新型コロナ感染は兵庫県内でも増えており、不安が広がっている。30歳以上や妊娠週数が25週以上の場合は、重症化のリスクが高くなるとされる。悲劇を繰り返さないために、安心して産める体制を再構築することが求められる。

 菅義偉首相は会見で「妊婦に対応できる高度な医療体制を地域で確保し、緊急時でも迅速な搬送を行えるよう連携を強化する」と述べた。

 感染症と出産の双方に対応可能な医療機関が限られているという問題は、以前から指摘されていた。柏市の死亡事案を「仕方なかった」では済ませられない。妊婦の健康観察や入院調整の経過を検証し、関係機関で情報を共有することが重要だ。

 兵庫県内では18の医療機関が感染した妊婦に対応している。県はこの体制が十分機能するのか改めて点検し、自宅療養中の妊婦の健康状態を把握する仕組みを整えるべきだ。

 妊婦へのワクチン接種も急がねばならない。市町による優先接種の取り組みを進めると同時に、副反応への不安を取り除くため、丁寧に説明する努力も欠かせない。

 入院できずに亡くなるケースは比較的若い世代で続いている。千葉県では入院先が5日間見つからなかった60代男性が死亡、埼玉県では入院対象ではないと保健所が判断した40代男性が容体急変で亡くなった。

 兵庫県は、自宅療養者に健康観察アプリによる自己チェックや電話相談、血中酸素濃度の測定器貸し出しなどを行っているが、それだけでは容体急変などへの不安が残る。

 政府や自治体は、病床や宿泊療養施設のさらなる確保に加え、医師会などと連携した往診などの体制強化に全力を注いでもらいたい。救えるはずの命を守るため、あらゆる手だてを早急に講じなければならない。

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