社説

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 新型コロナウイルスの感染拡大は、これまで見過ごされがちだった社会的な課題を顕在化させた。「生理の貧困」もその一つである。

 この言葉は、経済的な理由で生理用品の入手が難しい状況や、生理をタブー視する風潮などから正しい知識と情報を得にくい状態を指す。

 海外では以前から多くの人の関心を集め、生理用ナプキンなどの無料配布を法律で定めた国もある。コロナ禍が女性の雇用や日常生活に深刻な影響を及ぼす中、日本でもようやく注目されるようになった。

 生理の貧困は、経済格差にとどまらず、女性を巡る不平等の問題だといえる。その解消に向け、政府には腰を据えて取り組んでもらいたい。まずは当事者の声を丁寧にすくい上げ、社会全体で共通認識を持つところから始めたい。

 ショッキングな調査結果がある。今春、国際NGO「プラン・インターナショナル」が日本の若い女性2千人に尋ねたところ、10人に3人が金銭的理由などで「生理用品を買えない」「購入をためらったことがある」と答えた。

 対処方法として、交換回数を減らす、トイレットペーパーなどで代用する、との回答が目立った。不衛生な状態を強いられており、健康への影響が懸念される。

 生理で学校や職場を欠席、遅刻、早退した経験のある人は3割強に上った。生理痛の薬を買う金銭的な余裕がないとの悩みも寄せられた。学業や仕事での「機会の喪失」につながりかねず、看過できない。

 今年に入り、コロナ対策の一環で困窮世帯に生理用品の配布などを行う自治体が増えた。内閣府によると5月時点で全国で255の市区町が対応に取り組んでいた。兵庫県内では神戸、姫路、明石、加古川など10市に上る。

 一歩前進ではあるが、多くが防災備蓄品の活用といった一時的な取り組みにとどまる。全国で同じレベルの恒久的な施策を導入するために、国は予算を確保すべきだ。

 例えば、学校や公共施設のトイレに、トイレットペーパーと同じように自由に使える生理用品を常時置くのも効果的だろう。若い女性らを中心に生理用品の税率軽減を求める声は多く、署名活動が行われている。検討に値する問題提起である。

 男女ともに生理を正しく理解するための教育や啓発も求められる。無理解や「恥ずかしい」という意識が支援の障壁になっている。小学校での教育が特に重要だ。

 生理の貧困は、女性の声が政治や行政に届きにくい現状を改めて浮き彫りにした。意思決定の場でのジェンダー平等を急がねばならない。

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