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 2020年度の日本の食料自給率が、カロリーベースで37%に落ち込んだ。コメが凶作に見舞われた1993年度や、天候不順で小麦などの生産量が減少した2018年度に並ぶ、過去最低の水準である。

 小数点以下の数字を比較すれば両年度を下回っており、これまでになく厳しい食料事情と言える。

 コメの需要が減り続ける上に、国産小麦の生産が縮小し、コロナ禍による外食需要の減少も重なった-。農林水産省はそう分析する。

 政府は農業政策の基本計画で、自給率を30年度に45%へ引き上げる目標を掲げている。このままでは現実との乖離(かいり)がますます拡大し、絵に描いた餅になりかねない。

 農業再生などの抜本的な対策が不可欠だ。国民も「食」の現状にもっと危機感を持つ必要がある。

 食料自給率は、国内の食料消費を国産でどれだけ賄えるかを示す指標だ。政府は体に必要な熱量に換算したカロリーベースを重視するが、1965年の73%から右肩下がりで、必要なカロリーの半分も満たしていない。2019年度はわずかに改善したが、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、再び下落に転じた。

 自給率低迷の最大の要因は、食生活の欧米化でコメの消費が減り、原料の小麦を輸入に頼るパンや、外国産食品の割合が増えたことだ。外食や調理済み食品の消費拡大などでも「食」の海外依存が定着した。

 今や自給率は先進国で最低のレベルである。100%を超える米国やカナダ、オーストラリアなどを除いても、ドイツ(86%)、英国(65%)と比べて見劣りがする。そうした現状を直視しなければならない。

 気になるのは、コロナ禍で自国産を囲い込む動きがあることだ。ロシアやベトナムなど19カ国が小麦やコメなどの輸出を一時規制した。

 世界的な人口増加の影響や、気候変動による生産減も懸念される。このまま「輸入頼み」が続けば、国際的な食料受給の逼迫(ひっぱく)で国民生活が脅かされ、国の安全保障が影響を受ける事態も否定できない。

 対策の鍵は、自国の生産者をどう支え、育てるかである。

 政府は農地の集約化や高く売れる作物への転換、機械化の促進などで「もうかる農業」を目指している。だが、農業を主とする「基幹的農業従事者」はこの30年余りで半分以下に減った。担い手の平均年齢は70歳近く、引退する人も少なくない。

 打開するには個々の生産者を支援し、国産の消費を促進する、今以上に踏み込んだ施策が不可欠だ。一方で年間600万トンとされる食品ロスの削減など、消費の在り方を見直す取り組みも進めねばならない。

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