社説

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 「名門」とうたわれたものづくり企業の不正は、どこまで広がっているのか。全容はいまだ見えず、問題の根深さが際立つばかりだ。

 三菱電機で30年以上にわたる鉄道車両向け機器などの検査不正が相次ぎ発覚したことを受け、外部の弁護士らでつくる調査委員会が従業員の聞き取りを進めている。このほど、第1弾の報告書が公表された。

 7月から本格化した調査で、組織ぐるみの新たな不正行為が次々と見つかった。調査対象となった名古屋製作所可児工場(岐阜県)と長崎製作所(長崎県)の2カ所以外でも確認された。従業員から申告があった不正が疑われる事例は、延べ約2300件に上る。

 今後、それらを精査するとともに、来春までに兵庫県内9カ所を含む全国22カ所の全製作所やグループ会社を調べるという。今度こそ、うみを出し切らねばならない。

 検査の実態は極めてずさんだ。担当者が自ら架空データを自動作成するプログラムをつくるなど巧妙かつ悪質で、社会に衝撃を与えた。

 これまでの調査を通して、閉鎖的な組織の体質が改めて浮き彫りになった。しかも、製造現場は本社に不信感を持っていた。事業部門の独立性が高いのは三菱電機の特徴だが、弊害が大きくなっていたのは明らかだ。報告書は「工場あって会社なし」の風土がまん延し、それが不正の「真因」の一つだと指摘した。

 従業員の多くは、会社全体よりも自分が所属する工場や製作所の利益や都合を優先させる傾向があった。一方、経営陣は製造現場に関わる姿勢が弱く、現場の問題を共有できていなかった。会見した調査委員会のメンバーはそう述べた。

 品質第一の旗を振りながら、製造現場との信頼関係を築けず、不正を長年放置した経営陣の責任は重い。前社長が7月に引責辞任したのに続き、報告書の発表と同時に柵山正樹会長も職を辞した。当然だろう。

 調査委員会の聞き取りに対し、ある従業員は、問題を報告しても「『ありがとう。では、あなたたちで改善して』と言われるだけ」と答えたという。現場に是正を丸投げする体制では、本社や管理部門を信頼できないのも無理はあるまい。

 三菱電機は今後2年間で300億円を投じ、品質保証体制を強化する方針を示した。何より求められるのは、製造現場の声を改革に生かす組織に生まれ変わることだ。経営陣の覚悟とリーダーシップが問われる。

 加えて、自分たちの技術力不足が検査不正を招いたのではないか、との視点も欠かせない。規格や仕様を満たす力は十分だったのか。組織を挙げて問い直す必要がある。

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