社説

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 きょうは衆院選の投票日。新型コロナウイルス禍をどう乗り越え、その先の社会像をどう描くのか。「成長と分配」のバランスはどうあるべきか。4年ぶりの政権選択選挙で問われるテーマは大きいが、実質的な選挙戦はかつてなく短かった。

 投票したくても、何をどう選べばいいか、まだ迷っている人も多いのではないか。

 この約9年間は、与党の圧倒的多数を背景に強引な政権運営が目立つ「1強政治」が続いた。そのため「投票しても変わらない」という諦めが国民の間に広がったとの指摘もある。

 だがコロナ禍では、誰もが政治の判断一つで暮らしや権利が脅かされることに気付かされた。特に、政治が軽んじてきた声を届けようとする若者たちの動きに注目したい。

 30歳以下の政治参加を呼びかける大学生らのグループ「ノー・ユース ノー・ジャパン」は写真共有アプリ「インスタグラム」で、若者の関心が高い争点を分かりやすく解説している。

 取り上げたのは、選択的夫婦別姓制度やジェンダー平等、気候危機など未来を生きる世代には切実な問題だ。これまでは主な争点になりにくかったが、今回は多くの政党が公約に掲げ、立場の違いが表れている。

 「政権選択」などと大きく構えなくても、こうした個別の課題の中から自分が関心のあるテーマに集中して選んでもいい。

 政党の主張の違いがよく分からないという人には、自分の考え方がどの党に近いかを示してくれるインターネット上のマッチングサイトが参考になる。

 ネットは苦手という人には、家に届いた選挙公報が手がかりになる。限られたスペースで、経歴や、どんな政策に力を入れるかが一覧できる。有権者に対する誠実さや政治姿勢など感じ取れる情報は案外多い。

 候補者や政党が選挙後に何をしたか、しなかったかを見届けることも大切だ。少なくとも自分が投票した党や候補者を次の選挙まで覚えておきたい。

 迷いつつも投じた1票の積み重ねが政治を動かし、未来を選び取る。私たちは無力ではないと実感するためにまずは投票に行こう。

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