社説

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 国内総生産(GDP)と人口でそれぞれ全世界の約3割を占める最大級の経済圏が、年明けに始動する。日本や中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)などの15カ国が加盟する、地域的な包括的経済連携(RCEP(アールセップ))協定である。

 関税の撤廃・削減や統一ルールによる自由貿易推進を掲げて約1年前に各国が合意し、協定に署名した。オーストラリアとニュージーランドが批准手続きを終え、1月1日に効力が発生する運びとなった。

 政府は国内経済への効果として、GDPを約2・7%押し上げ、約57万人相当の雇用を生むと試算する。ただ、農林水産品など安価な海外産輸入による影響が懸念される分野もある。特定の産業が利益を得るのでなく、全ての人々が恩恵を享受できるよう、「共生の枠組み」として発展させる知恵を絞りたい。

 RCEPは、日本など11カ国が加盟する環太平洋連携協定(TPP)を上回る規模となる。最大の特徴は世界第2位の経済大国・中国が加盟していることだ。米国は加盟せず、当初交渉に加わっていたインドも離脱したため、結果的に中国の存在感が際立つ形となった。

 経済統制を強める中国が「開かれた経済」を目指すルールをどこまで受け入れるかが焦点とされたが、進出企業への技術移転要求を禁止する規定を初めて容認した。電子商取引の自由化や知的財産保護でも一定のルールに従うことで決着した。

 もともとRCEPには、日中韓による連携協定を提唱した中国の動きを警戒した日本が、インドやオーストラリアなどに参加を呼びかけた経緯がある。国有企業を優遇する中国に変化を促す狙いもあった。日本は今後も中国に規定の順守と透明性の確保を求め続ける必要がある。

 加盟国全体の関税撤廃率は品目ベースで91%だ。TPPでは日本が95%、他加盟国は99~100%とより高い水準が課されている。TPPにも加盟申請している中国にとって、RCEPでの協調と開放の度合いが承認への試金石となるだろう。

 ただ、このTPP加盟申請には、同じく加盟を求める台湾をけん制する狙いも透ける。中国は南シナ海などで他国を威圧する軍事行動を続けており、経済面でも域内の主導権を握ろうとする可能性がある。

 経済成長を続けるインドは貿易赤字拡大を懸念して離脱したが、バランスを取るためにも、日本は交渉への復帰を働きかけるべきだ。

 一方、中国や韓国とは初の経済連携協定となる。とりわけ韓国とは相互利益の結び付きを強め、歴史認識問題などで冷え込んだ外交関係を改善する糸口としたい。

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