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 米大リーグで今季大活躍したエンゼルスの大谷翔平選手が、アメリカン・リーグの最優秀選手(MVP)に選ばれた。投票権のある記者30人全員が1位に投じた。日本選手では2001年のマリナーズ時代のイチローさん以来2人目で、20年ぶりの快挙となる。野球選手としての頂点である名誉を心からたたえたい。

 コロナ禍が続く今年、大谷選手の勝ち星や本塁打は国民の心を晴れやかにしてくれた。MVPはその積み重ねの成果であり、応援する一人一人にとっても誇らしい。

 大谷選手といえば、投打の「二刀流」だ。先発投手としてマウンドに向かい、三振を奪う。同じ試合で強打者として打席に立ち、特大のホームランを放つ。映画やコミックに登場するヒーローのようなプレーで、米国の野球ファンを驚かせた。

 投打に勇躍する姿を、現地メディアは名前の「翔」にちなんで「SHO TIME」と呼んだ。

 シーズンを通し、二刀流の活躍を続けたのは偉業というしかない。投手では9勝2敗、156奪三振、打者でも打率2割5分7厘、46本塁打、100打点だった。さらに26盗塁を決めて「走」でもアピールした。

 本塁打はア・リーグのタイトルまであと2本、伝説の選手ベーブ・ルースが残した「2桁勝利、2桁本塁打」にも迫った。野球史にその名を刻む文句なしの成績である。

 オールスター戦で、史上初の二刀流での先発出場を果たしたことも話題になった。日本選手では初めて本塁打競争にも出て、国内外のファンをテレビの前にくぎ付けにした。

 大谷選手は、ドラフト1位で入団した日本ハムからエンゼルス入りした。今季は渡米4年目だが、ここに至るまでの道は平らではなかった。1年目の途中に右肘を故障し、オフに靱帯(じんたい)を再建する大手術を受けた。翌年には左膝の手術もした。復活するまでの精神的な苦闘と、トレーニングにかけた努力は並大抵のものではなかったに違いない。

 打席で審判にあいさつするなど、大谷選手は紳士的なプレースタイルでも人々を魅了する。現地のファンは「謙虚で礼儀正しいから好きだ。子どもたちの模範になる」と賛辞を惜しまない。

 選出決定後の会見で、大谷選手は「みなさんが1位に入れてくれたことがうれしくて、また来年頑張ろうという気持ちに、さらにさせてくれた」と一層の活躍を誓った。

 MVP獲得の先輩であるイチローさんは「(今シーズンを機に)翔平にしか描けない時代を築いていってほしい」とエールを送る。まだ27歳だ。来シーズンの活躍が、今から楽しみでならない。

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