社説

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 関西電力の金品受領や役員報酬補填(ほてん)の問題を巡り、会社法違反(特別背任、収賄)などの疑いで告発された同社の八木誠前会長、岩根茂樹前社長、森詳介元会長ら旧経営陣9人について、大阪地検特捜部は嫌疑不十分で不起訴処分とした。

 一つは、原発立地自治体の福井県高浜町の元助役(故人)から、旧経営陣が多額の現金などを受け取っていた問題だ。関電は元助役が関係する業者に工事を発注していた。特捜部は、旧経営陣が水増し発注を指示したかなどを精査した結果、刑事責任は問えないと判断した。

 しかし問題を調べた第三者委員会は、元助役の要求に応じて工事を発注した「便宜供与があった」と認定していた。元助役は死亡しており、金品提供が謝礼だと特定するのは困難としても、捜査で実態が解明されなかったのは残念でならない。

 告発した市民団体は、検察の処分を不服として検察審査会に審査を申し立てる方針だ。再捜査になる可能性もあり、議決を注視したい。

 第三者委によると、金品受領者は75人、総額は約3億6千万円相当に上った。1億円以上の金品を受け取った役員もいた。常識を逸脱した額である。「一時的に預かっていただけで返すつもりだった」と釈明したが、社会的には許容されない。旧経営陣は猛省すべきだ。

 もう一点の報酬補填は第三者委の調査で判明した。東日本大震災後の赤字でカットした報酬を補うため、役員退任後に嘱託となった18人に、計2億5900万円が支払われていた。旧経営陣は「嘱託業務の対価」と主張し、特捜部も「実態がないとは言えない」と起訴を見送った。

 ならばなぜ、ひそかに穴埋めしなければならなかったのか。公共性の高い企業を経営する倫理意識に欠けていたのは明らかである。刑事処分の結果がどうであれ、赤字を背景に値上げされた電気料金を支払う利用者の理解は得られまい。

 問題発覚後、関電は「創業以来の危機的状況」とした。にもかかわらず、不起訴処分を受けて「当社は当事者ではなく、大阪地検の判断についてお答えする立場にない」とのコメントを出した。組織としての反省のなさにはあきれるほかない。

 特捜部の判断に対し、高浜町では住民の間に失望や不信感が広がっている。ある町議は「関電の体質が根本から改善されているかどうか、監視し続ける必要がある」と話す。

 関電は運転開始から40年を超える高浜原発1、2号機を再稼働させる意向だが、老朽原発を動かすには同社への信頼が不可欠だ。経営陣は、利用者らの厳しい目を肝に銘じ、信頼回復を急がねばならない。

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