社説

  • 印刷

 岸田文雄首相にとって初の本格論戦となった臨時国会が閉幕した。新型コロナウイルス対策や大規模経済対策を盛り込んだ約36兆円に上る過去最大の補正予算案を成立させた。一方で、国会議員に月額100万円が支給される文書通信交通滞在費(文通費)の見直しは先送りされた。国会の怠慢というほかない。

 文通費は在職1日でも満額が支払われ、使い道を明らかにする必要もない。政治家が事実上自由に使える「第2の歳費(給与)」とも呼ばれる。10月31日の衆院選で当選した新人議員らにも10月分が満額支給されたことに、日本維新の会の新人議員が疑問を呈した。見直しを求める機運が高まり、与野党は日割り支給とする歳費法改正で一致していた。

 ところが、野党側が使途公開や国庫への返納を可能とする法改正案を提出すると、自民、公明の与党は日割りへの変更の先行を主張し、折り合わないまま会期末となった。

 共同通信社が今月実施した世論調査では、8割以上が日割り支給に加え、使い道の公開なども義務付けるよう求めた。原資が税金である以上、国民が使途をチェックできるようにするのは当然だ。地方議会の政務活動費では使途や領収書の公開が進んでいる。なぜ国会では実現できないのか。閉会中も与野党で協議を続け、来年1月召集の通常国会までに是正を決断すべきである。

 首相は自民党総裁選で「政治とカネ」の問題について、「国民に丁寧に説明し、透明性を高める」と公約に掲げた。だが国会では「各党各会派が合意を得る努力を重ねる必要がある」と繰り返すだけで、指導力を発揮する姿は見られなかった。国民の厳しい視線を忘れてはならない。

 18歳以下への10万円給付も迷走した。政策目的が曖昧で、自治体や国民の声を聞かずに制度設計を拙速に進めたためだ。現金かクーポン方式かという給付方法ばかりが注目されたが、税金の使途として有効なのかを見極める議論は不十分だった。

 国土交通省の建設受注統計の書き換え問題は越年となる。調査を徹底し、動機や背景などを解明してほしい。森友学園問題で公文書改ざんを指示され自殺した元近畿財務局職員の妻が起こした民事訴訟では、政府は賠償金の全額支払いによる幕引きを図った。しかし、再調査には一切言及しなかった。首相が強調する「丁寧な説明」とは程遠い。

 政策立案型への転換を図る立憲民主党は、政権との対立軸を明確に打ち出せず、野党第1党としての追及は迫力不足に終わった。通常国会では、与野党双方が積み残された課題に真摯(しんし)に向き合い、政治への信頼を取り戻さねばならない。

社説の最新
もっと見る
 

天気(5月22日)

  • 26℃
  • ---℃
  • 20%

  • 28℃
  • ---℃
  • 20%

  • 26℃
  • ---℃
  • 10%

  • 29℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ