社説

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 日本政策金融公庫の新型コロナウイルス関連の融資を違法に仲介したとして、東京地検特捜部が、貸金業法違反の罪で公明党の衆院議員だった遠山清彦・元財務副大臣ら4人を在宅起訴した。

 公明党は結党以来、「クリーンな政治」を掲げ、「政治とカネ」の問題に厳しい姿勢を示してきた。その足元で起きた事件である。山口那津男代表は「党にとって試練だ」と述べたが、党全体で真摯(しんし)に受け止め、徹底した綱紀粛正と再発防止を図らねばならない。

 起訴状によると、遠山被告らは2019年6月ごろから20年6月ごろまでの間、貸金業の登録をしていないのに、コロナ禍で業績が悪化した企業などを支援する公庫の特別融資を仲介したとしている。遠山被告が関与したのは共謀分を含め111回に上り、手数料として約1千万円の利益を得ていた、とされる。

 違法な仲介は、公庫を所管する財務省の副大臣を務めていた時期にも行われていた。政治家による口利きの典型であり、立場を悪用したとみられても仕方あるまい。コロナ禍で資金繰りに苦しみ、融資を待ちわびた中小企業や自営業者にすれば、不公平さに憤りが収まらないだろう。

 同党の太田昌孝前衆院議員の元政策秘書も、同様の罪で在宅起訴された。遠山被告と別ルートで公庫からの融資を仲介し、こちらも約1千万円の利益を得ていたとされる。倫理観の欠如が甚だしく、党内で不正が横行していたと疑われかねない。裁判では、不正に至る経緯や背景、全体像を明らかにしてもらいたい。

 遠山被告は党内で「プリンス」と呼ばれ、幹事長代理を務めるなど将来を嘱望されていた。しかし、緊急事態宣言下の21年1月、深夜に東京・銀座のクラブを訪れて批判を浴びた。自らの資金管理団体がキャバクラなどの飲食代を支出していたことも明らかになり、同年2月に議員辞職に追い込まれた。国会議員としての適性と自覚を著しく欠いていたと言わざるを得ない。

 「政治とカネ」を巡る不祥事は自民党でも後を絶たない。19年参院選で地元議員らに現金を配った河井克行元法相は懲役3年の実刑判決が確定し、菅原一秀元経済産業相も選挙違反で罰金刑となった。吉川貴盛元農相も収賄罪で公判中である。

 公明党は、連立を組む自民党にたびたび苦言を呈してきた。今回の事件は、政権全体に緩みがあることを示しているのではないか。国民の政治不信を募らせた責任は重い。公明党は不正の実態を自らの手で明らかにし、説明責任を果たすべきだ。自浄作用を発揮しないまま、幕引きを図ることは許されない。

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