社説

  • 印刷

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が今月、産業革命前と比べた気温上昇の幅を1・5度に抑えるためには「世界の温室効果ガス排出量のピークを、遅くとも2025年以前に迎える必要がある」とする報告書を公表した。IPCCの第3作業部会がまとめた。

 厳しい目標を世界に示し、実効性のある温暖化対策を強く求める内容である。各国の対応に一刻の猶予も許されない。

 対策には全分野での取り組みが必須で、世界の排出の3分の1を占めるエネルギーの分野がとりわけ重要になる。報告書は化石燃料使用の大幅削減を訴えた。問題意識を共有したい。

 IPCCは気候変動の科学的知見を評価する組織で、今回の第6次は8年ぶりの報告書となる。将来予測などを整理する第1作業部会が昨年、人間活動による温暖化に「疑いの余地はない」と明言、今年2月には影響分析の第2作業部会が「気候変動が人間社会や生態系に損害をもたらしている」と警告した。

 第3作業部会は、二酸化炭素(CO2)などの排出削減策を担った。15年のパリ協定では気温上昇を1・5度に抑えるとし、それにより極端な異常気象は回避できるとされた。だが同部会の報告書は、政策強化がなければ「今世紀末までに3・2度の温暖化をもたらす」とした。

 報告を受け、海面上昇による国土消失の恐れに直面する太平洋などの島しょ国は、排出量の8割を占める先進国の取り組みの鈍さに改めて不満を表した。もっともな批判である。

 主要排出国が注目すべきは、報告書が提示した削減の具体策だ。太陽光発電導入の加速化、エネルギー効率の高い建物の建設、電気自動車への乗り換え、植林など多岐にわたる。徒歩主体の都市計画なども有効と提言し、分野によってはCO2排出実質ゼロが「困難だが可能」との希望も示した。可能な対策から順次着手せねばならない。

 日本政府は30年度の温室効果ガス排出量を13年度比46%減、50年実質ゼロの目標を掲げる。一方でCO2排出量が多い石炭火力発電の利用方針を維持している。矛盾と言うほかない。政府は科学による警告に真摯(しんし)に耳を傾け、政策転換を急ぐべきだ。

社説の最新
もっと見る
 

天気(7月5日)

  • 29℃
  • ---℃
  • 70%

  • 32℃
  • ---℃
  • 50%

  • 29℃
  • ---℃
  • 70%

  • 30℃
  • ---℃
  • 70%

お知らせ