社説

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 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、防衛省の設計変更申請を不承認とした沖縄県の処分について、斉藤鉄夫国土交通相が取り消す裁決をした。また県に対し、地方自治法に基づき、設計変更を承認するよう勧告した。

 設計変更は、埋め立て海域の軟弱地盤強化が目的だった。申請を受けた沖縄県は「埋め立てには著しく不向きな軟弱地盤」と判断し、不承認とした。これに対し、防衛省が国交相に不服審査請求をしていた。

 県側が主張したように、そもそも防衛相と同じ内閣の一員である国交相が、公平で公正な裁決ができるかどうか疑わしい。本来、不服審査請求は一般私人の権利救済を目的としており、省庁による申し立て自体に無理があると言わざるを得ない。

 勧告を受けた県は「精査した上で対応を検討する必要がある」として承認に応じていない。国側は法的拘束力のある是正指示を出すとみられる。県側が国地方係争処理委員会に審査を申し出ても、その後、裁判での争いが続く可能性が高い。

 普天間飛行場の返還は、1996年の日米合意から5~7年後の予定だった。辺野古移設の目的は「普天間の危険性の早期除去」だったはずだ。法廷闘争に時間をかけるのは、早期除去の方針に反する。政府は争う姿勢を改め、沖縄県との話し合いを尽くすべきだ。

 裁決は、県の不承認処分を「裁量権の範囲を逸脱し、または乱用したもので違法であり不当」とした。だが軟弱地盤は「マヨネーズ並み」とされ、設計変更が認められても、新基地が運用できるまで12年以上かかるとされる。一日も早い普天間返還を求める県が「事実上、無意味な工事」と主張するのも理解できる。

 埋め立てを巡っては、周辺海域に生息する絶滅危惧種ジュゴンをはじめ自然環境に影響する恐れが指摘される。設計変更で必要になる大量の土砂を、沖縄戦の激戦地で、多くの遺骨が眠る本島南部から調達する計画も反発を招いている。

 県民の懸念に関し、政府が十分に情報を開示せず、丁寧に説明しようとしない問題も看過できない。このまま強硬な姿勢をとるなら、たとえ係争が何らかの決着をみても、国と地元との亀裂は深まるばかりだ。

 沖縄は今年、本土復帰50年を迎える。衆院の沖縄北方特別委員会は今月、米軍基地をはじめとする諸問題の解決に最大限努力するとした決議を採択し、政府に対しても抜本的な改善を求めた。

 復帰後の半世紀も、沖縄は重い基地負担に苦しみ続ける。政府は、地元が容認できる負担軽減策を最大限打ち出さなければならない。

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