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 米国で銃の乱射事件がやまない。先月24日、テキサス州の小学校で児童ら21人の命が奪われ、その10日前にはニューヨーク州のスーパーで10人が亡くなった。今月もオクラホマ州の医療施設などで4件の事件が相次ぎ、少なくとも13人が死亡した。惨事のたびに銃規制が叫ばれるが、遅々として進まない。今度こそ悲劇の連鎖を断ち切らねばならない。

 テキサス州の容疑者の男は、銃を買える18歳になった直後に殺傷力の高いライフルを購入し、約1週間後に事件を起こしたという。ニューヨーク州の容疑者も18歳の男で、人種差別的な思想の持ち主とされ、被害者の多くは黒人だった。見逃せないのは、移民排斥など「憎悪犯罪」に絡む事件が目立つ現状だ。

 簡単に銃が手に入れられる背景には、米国社会の根深い分断がある。米国では武器の所持が憲法で権利として保障されている。乱射事件が起きるたびに民主党が銃規制を主張するが、共和党の反対で規制強化は進んでいない。銃保持に固執する保守層と、支持基盤の銃擁護ロビー団体「全米ライフル協会」(NRA)への配慮とされる。だが銃から命を守ることが最優先である。党派を超えて取り組んでもらいたい。

 テキサス州の事件では、現場に着いた警察官が約45分間、突入せずに待機したことが批判されている。トランプ前大統領は、同州でのNRAの年次会合で、再発防止策として「武装した担当者の常時配置」を挙げた。銃を増やして銃犯罪を防ぐ対応では根本的な解決には程遠い。

 1992年、留学先の米ルイジアナ州で服部剛丈(よしひろ)さん=当時(16)、名古屋市出身=が射殺された。訪問先を間違えた服部さんを撃った家人は「正当防衛」を主張した。今や米国内には総人口を上回る4億丁もの銃が出回っており、自衛の域をはるかに超えている。

 日本も人ごとではない。銃を非合法に所持する暴力団の抗争に、市民が巻き込まれる事件が繰り返されてきた。兵庫県では85年、尼崎市の飲食店で堀江まやさん=当時(19)=が流れ弾を受けて死亡した。母親の故ひとみさんは、組長の使用者責任を問う民事訴訟を起こすなど暴力団排除を先導してきた。

 県内に拠点を置く特定抗争指定暴力団、山口組と神戸山口組の争いは続き、5日にも組長宅への銃撃があった。組事務所の使用制限や立ち退きを進め、根絶を図る必要がある。

 相次ぐ事件を受け、バイデン大統領は国民に向けて演説し、抜本的な銃規制を訴えた。米国は異常な現実を受け止め、銃社会をこれ以上放置してはならない。殺傷力が高い武器は全面的に禁止すべきだ。

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