社説

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 プロ野球の日本シリーズで、オリックス・バファローズがヤクルトスワローズとの対戦成績を4勝2敗1分けとして優勝した。パ・リーグ2連覇とともに阪急時代を含めて5度目の日本一に輝き、中嶋聡監督が胴上げで神宮球場の夜空に舞った。

 日本シリーズの制覇は阪神・淡路大震災直後の1996年以来、26年ぶりだ。ファンが待ち望んでいた栄冠を心からたたえたい。

 前回のシリーズ優勝時に選手だったイチローさんは「『がんばろうKOBE』を合言葉にファンの方々と共に闘った熱い気持ちを、僕の中にも呼び起こしてくれました」とコメントした。当時のブルーウェーブは神戸が本拠地で、仰木彬監督率いるチームが快進撃を続けた。被災地を励ました優勝を心に刻む兵庫県民は多い。感慨深い日本一である。

 シリーズ初戦、オリックスは、最多勝利など「投手4冠」の山本由伸投手で臨んだ。ところが、この絶対的エースが左脇腹の不調でまさかの途中降板となる。後続が最年少三冠王のヤクルトの主砲、村上宗隆選手の本塁打も浴び、敗戦する。

 第2戦は3点をリードしながら引き分けに終わり、第3戦は6点差で完敗を喫する。しかしここから一気に4連勝してシリーズを制した。

 杉本裕太郎選手が第4戦などで決勝点を奪い、主砲の吉田正尚選手が第5戦でサヨナラ本塁打を放った。投手陣も山本投手の不在を埋めた。第7戦では3年目の宮城大弥投手が無失点で大役を果たした。選手らの不屈の精神には驚くほかない。

 今季パ・リーグでオリックスは3~5位を行き来し、一時は首位に11・5ゲーム差をつけられた。終盤そこから勝ち上がり、マジックナンバーが一度も点灯しないまま、奇跡的な逆転優勝を遂げた。その戦いぶりは日本シリーズでも同じだった。

 こうしたチームに育てたのは中嶋監督の手腕だ。監督は阪急時代の入団で、前回優勝時の捕手だった。多くの選手に慕われた仰木さんのように、飾らない人柄が結束を強める。「全員で勝ち取った優勝」と語ったが、「最後まで諦めない」という姿勢を選手に徹底させた指導と采配があってこその成果に違いない。

 一方で、ヤクルトも2年連続日本一をつかむに十分な実力を備えていた。オリックスに劣らない粘り強いプレーは見事だった。球界最高峰の投打のぶつかり合いが、今年のシリーズを見応えあるものにした。

 オリックスは3日に大阪・御堂筋で優勝パレードを行う。神戸での開催を望む声もあるが、残念ながら予定はないという。兵庫のファンが、何らかのかたちで歓喜を共有できる場が設けられるのを期待したい。

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