社説

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 4年に1度の世界最大級のスポーツイベント、サッカーのワールドカップ(W杯)が20日、中東のカタールで開幕する。7大会連続7度目の出場となる日本は1次リーグE組でドイツ、コスタリカ、スペインと対戦する。難敵に真っ向から挑んで決勝トーナメントに進み、悲願の「8強」を目指してほしい。

 試合会場は首都ドーハとその周辺にある。1993年10月28日、ここで日本対イラクのW杯米国大会最終予選があり、終了間際に日本が同点にされて初出場を逃した。「ドーハの悲劇」と語り継がれる一戦だ。

 カタール大会では、新しい時代の日本代表がこの苦い記憶を払拭し、選手とファンが「ドーハの歓喜」を迎えるのをぜひ見たい。

 大会では32チームが1次リーグ8組に分かれて争い、各組2位までの16チームが決勝トーナメントに進出する。日本は23日夜(日本時間)の初戦でドイツと当たる。スペインとともに優勝経験を誇る強豪だ。コスタリカも8強の実績があり、日本の1次リーグ突破は容易ではない。

 だが日本代表はアジア最終予選でも、主力の故障などの逆境をはねのけた。序盤の3戦で2敗して窮地に追い込まれたものの、その後6連勝した。精神的な強さの証しだ。

 代表26人には海外で活躍する選手が目立つ。36歳のベテラン長友佑都選手や主将の吉田麻也選手らW杯経験組が選ばれた一方、久保建英(たけふさ)選手ら初出場の若手もいる。地元兵庫県からは尼崎市出身の堂安律(どうあんりつ)選手(フライブルク)がチームに加わる。

 東京五輪にも出場した24歳の堂安選手は「自信しかない。優勝を目指さないでどうするんだと思う」と話す。強気のプレーで、ファンの声援に応えてくれるに違いない。

 森保一監督の采配も注目したい。監督は選手として「ドーハの悲劇」を体験し「人生であれほど悲しいことはない」と語っている。最後まで果敢に攻めてこそ勝てるという教訓は日本代表の原点だ。日本らしい諦めない試合ができれば、勝機は見いだせるのではないか。

 日本代表だけでなく、世界最高の舞台での各チームの戦いぶりも楽しみだ。2連覇がかかるフランスや優勝候補筆頭のブラジルなどが関心を集める。5大会目の出場となるアルゼンチンのメッシ、ポルトガルのロナルドらスター選手は、どんなプレーを見せてくれるだろう。

 巨大スポーツイベントの在り方には批判的な声も根強い。東京五輪はスポンサー選定などを巡る汚職事件で多くの逮捕者を出した。近年商業化の行き過ぎが指摘され、W杯も例外ではない。世界の人々が共感できる大会運営をしてもらいたい。

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