社説

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 晩秋のミナト神戸を全国から集まったランナーが駆け抜ける「神戸マラソン」がきょう開催され、第10回の節目を迎える。新型コロナウイルス感染拡大の影響で2年延期されたため、3年ぶりの大会となった。

 コロナの感染者数が増加傾向にあり、感染対策を徹底した運営が求められる。沿道の応援自粛など制約の多いレースとなるが、出場する2万人のランナーは全力を出し切ってほしい。

 2019年の第9回では男女ともに大会新記録が出た。今回も坪内淳一選手、山口遥選手ら招待選手の記録が期待される。北京五輪女子5000メートル代表の小林祐梨子さんらゲストランナーの走りも楽しみだ。

 大会は11年、阪神・淡路大震災で寄せられた支援への「感謝と友情」をテーマに始まった。当時はマラソンブームのまっただ中で、神戸の中心部から明石海峡大橋まで走るコースが多くのランナーの関心を集めた。

 第1回から定員を大幅に上回る応募があり、前回は3・9倍だった。だが今回は応募が前回比6割減の3万2千人と過去最低になり、倍率は1・6倍だった。ランナーがコロナの感染を懸念したことに加え、参加料が例年より約5千円高くなった影響が大きいとみられる。

 値上げは感染対策のためで、やむを得ない面がある。ただ、マラソンを取り巻く環境はコロナ禍の間に変わった。一時のブームが落ち着き、大阪マラソンなど定員割れになった大会も少なくない。他大会との違いや優れた点を発信しなければ、開催が難しくなる恐れもある。

 「災害支援」の理念を掲げる神戸マラソンは、参加料の一部などを集め、国内外の被災地に寄付してきた。今後も被災地同士のつながりを大切にして、開催意義を深めるべきだ。

 大会後、今後の在り方を検討する委員会が開かれる。兵庫県は行財政改革の一環で主催を取りやめると公表した後、23年度までは従来通り主催するとの方針を示した。24年度以降の方向性は、同じく主催の神戸市などと話し合って決めるという。

 神戸は日本マラソン発祥の地である。さらに魅力ある大会に育て、継続していくための知恵を絞っていきたい。

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