兵庫県が2023年度当初予算案を発表した。財政状況が一段と厳しさを増す中で、人口減少の大きな壁を乗り越え、いかに地域活性化を図るか。次世代成長産業の創出や県内で働く人材の確保・育成、老朽化が目立つ県立学校の環境整備、若者への切れ目のない支援など、難題克服に向けた施策を多く盛り込んだ。
斎藤元彦知事は会見で「課題のある現場や当事者との対話を重視し、予算への反映に意を尽くした」と述べた。特に「新しい時代の原動力となる若い世代を育むため、教育への投資を強化した」と力を込めた。
人や企業に選ばれる兵庫の将来像を描き、共有していくには、一つ一つの施策の実効性が問われる。
一般会計は22年度を236億円下回る2兆3597億円、特別会計と公営企業会計を合わせた総額は4兆2782億円となる。県税収入は企業業績の回復などを見込み、過去最大の9037億円を計上した。
発生から28年が過ぎた阪神・淡路大震災は依然、県財政に影を落とす。借金に当たる県債残高は4兆8943億円に上り、その返済が県政運営の足かせになっている。
将来の財政見通しは、28年度までの収支不足額が140億円から255億円に膨らんだ。国が示した経済成長率の低下などが要因となり、財政の健全度を測る指標「実質公債費比率」は24年度に18%を超え、県債発行に国の許可が必要となる。税収を増やす方策とともに、行革の継続が欠かせない。
こうした中でも、新型コロナウイルス対策や物価高への対応、25年の大阪・関西万博を見据えた交流や観光振興、阪神・淡路大震災の教訓を生かした防災・減災対策などの施策は確実に推進する必要がある。
人口流出をいかに食い止めるかは最大の課題だ。22年人口移動報告で、兵庫は11年連続で「転出超過」だった。超過数も5625人と前年より膨らみ、全国で5番目に多い。
予算案では、県内で働く若者の定着にも力を入れる。中小企業などで勤務する30歳未満を対象に、奨学金の返済を支援する。就職後5年間は本人負担がゼロになる。婚活や不妊治療、子育て、就労への支援も手厚くするなど定住・移住を促す。息の長い取り組みを進める一方で、これまでの政策の効果を検証し、県民に分かりやすく伝えてほしい。
持続可能な兵庫の姿は、行政だけで実現できるものではない。現場を抱える市町との緊密な連携や協調はもちろん、企業やNPOなど多様なセクターとの協働が鍵となる。
予算案を審議する県議会の役割もいつにも増して重い。地域の課題を直視した活発な論戦を望みたい。








