社説

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 トルコ南部を震源とする2回の大地震が発生し、トルコと隣国シリアに甚大な被害をもたらした。建物の倒壊に加え、厳しい寒さの中で多くの人が命を落としている。犠牲者は1万人を超えており、国境を超えた人道救援を急がねばならない。

 岸田文雄首相は「可能な限りの支援を行う」と表明し、行方不明者の捜索や人命救助に当たる国際緊急援助隊・救助チームを派遣した。政府はさらに支援を強化してほしい。

 阪神・淡路大震災の被災地でも、神戸の非政府組織(NGO)「CODE(コード)海外災害援助市民センター」や「神戸国際支縁機構」が募金などの動きを始めた。医療支援や心のケア、生活再建、地域再生などに息の長い取り組みが必要だ。兵庫の経験と教訓も伝えながら、官民挙げて手を差し伸べ続けたい。

 地震が起きたのは6日午前4時17分(日本時間同10時17分)ごろだった。マグニチュード(M)7・8の規模で、未明に襲った激震が被害を深刻にした。さらに午後1時24分(日本時間同7時24分)ごろM7・5の2度目の大地震が発生し、救助作業中にビルが次々に崩落するなど、追い打ちをかける形になった。

 6434人が亡くなった阪神・淡路大震災はM7・3だが、今回の2度の地震はいずれもそれを上回っている。れんがを積み上げた構造の建物が多い地域で、不十分な耐震性が被害拡大の要因とみられる。

 トルコは活断層が集まる世界有数の地震国で、1999年にはM7・4の大地震で1万7千人以上が犠牲になった。政府は耐震化などの対策を進めていたが、基準を満たさない建物がかなりの割合を占め、取り組みが追いつかなかったようだ。

 今回、トルコとシリアにはさまざまな国が支援に乗りだしている。国連のグテレス事務総長はさらなる人道援助を各国に呼びかけた。

 ただ、内戦が続くシリアでは被災地が反体制派や過激派の活動エリアにもまたがり、支援が届きにくい状況という。内戦で家を破壊され避難民となっている住民にとって、地震による環境の悪化が心配だ。

 政治や宗教の壁が支援の妨げになってはならない。恩讐(おんしゅう)を超えて結束を示さねばならない時である。

 注目したいのは、シリアと敵対関係にあるイスラエルがテントや医薬品などを送ると表明したことだ。虐殺被害を訴えてトルコと歴史的に対立するアルメニアも、トルコの要請で救助部隊派遣を約束した。非常時の助け合いを、和解と平和共存につなげることが重要となる。

 今は生存者の救出が急がれる。世界中の救援の努力で一人でも多くの命が助かることを、切に願う。

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