社説

  • 印刷

 経営再建中の東芝が、独立系投資ファンド・日本産業パートナーズ(JIP)を中心とした国内陣営による買収提案を受け入れた。JIP陣営は株式公開買い付け(TOB)で東芝を傘下に収め、上場廃止後に事業価値を高めて再上場する考えだ。

 東芝は2015年の不正経理発覚で財務状況が悪化した。海外の投資ファンドによる増資で息を継いだが、短期的な利益を重視する「物言う株主」の影響力が強まり、経営は混迷を続けた。

 TOBが成立すれば「物言う株主」は退場し、ひとまず混迷に終止符を打つことになる。しかしこの間に家電や医療機器などの事業が売却され、「成長性のあるビジネスが見当たらない」とも指摘される。次代の柱を育てるのが経営陣の急務だ。

 JIPには日本企業約20社が出資しており、ソニーやオリンパスの再編にも携わった実績がある。

 東芝は原子力など安全保障に密接な関係を持つ事業を手がけるため、国内資本による経営再建なら政治面などの障害が少ない。JIP案は経営陣を続投させ、事業も切り売りしない方針だったとされ、東芝としては事業運営の足かせがなくなる点を評価したのだろう。

 一方で、新たな重荷がのしかかる。JIP案では買収資金のうち約1・2兆円が、最終的に東芝の債務となる。JIP側が示したTOB価格で海外ファンドなどが株を放出するかはまだ見通せず、価格を引き上げれば債務も増える可能性がある。

 JIP案では東芝経営を巡り、出資企業と金融機関の主導権争いがあったとされる。巨額の債務を抱えれば金融機関の視線はいっそう厳しくなる。早急に成長戦略を練り直して実行せねば、リストラへの圧力が高まりかねない。

 経営再建に向けて期待がかかる柱の一つは、電力を効率的に制御できるパワー半導体だ。電気自動車や電化製品には不可欠で、今後も市場の伸びが予測される。現状では東芝など日本勢が世界トップに立つものの、欧米や中国勢も急速に売り上げを伸ばしており、油断は禁物だ。

 東芝は25年春に兵庫県太子町で新たな製造設備を稼働させる。JIPにはパワー半導体を扱う別の企業も参画している。日本勢の優位を固めるためにも、買収を機に技術連携を強化する必要がある。

 国内電機メーカーはかつてテレビや家電で世界を席巻したが、価格面などで競争力を失った。近年は顧客が抱える問題の解決やデータ処理など、新たな成長分野に経営資源を振り向けている。東芝もその流れを一層加速させ、日本経済の新たな強みを生みだしてもらいたい。

社説の最新
 

天気(10月27日)

  • 23℃
  • ---℃
  • 10%

  • 20℃
  • ---℃
  • 50%

  • 23℃
  • ---℃
  • 10%

  • 23℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ