沖縄県はきのう、本土復帰から51年を迎えた。1972年に米国から施政権が返還されて半世紀が過ぎても、沖縄には在日米軍専用施設面積の7割が集中する。軍用機の事故や騒音、米兵による事件、基地由来の環境汚染などの問題が絶えない。
在日米軍基地が日本の安全保障に欠かせないと言うなら、基地問題の解決に政府は責任を負う。県民が受忍してきた過剰な負担を確実に軽減していかねばならない。
昨年の復帰50年の節目に合わせ、玉城デニー知事は「平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書」をまとめ、岸田文雄首相に手渡した。
知事は、基地の整理縮小▽米軍の特権を認める日米地位協定の抜本的見直し▽辺野古新基地建設の断念▽アジア太平洋地域での平和的外交による緊張緩和▽自立型経済の構築-などを求めた。戦後、米軍の施政権下で遅れていた地域振興を進め、復帰時に目指した「本土並み」を実現するには、政府が建議内容の一つ一つを重く受け止める必要がある。
住宅に囲まれ「世界一危険な米軍基地」とされる米海兵隊の普天間飛行場(宜野湾市)は、96年に日米で5~7年での返還が合意されたにもかかわらず、今も運用が続く。
日米両政府は、返還には名護市辺野古への移設が「唯一の解決策」と繰り返す。しかし自然豊かな海を埋め立てる移設工事に玉城知事は明確に反対し、昨年9月の知事選でも再選した。現場海域の軟弱地盤で、基地建設は技術的に困難と県は指摘する。政府は反対の民意を尊重し、いったん工事を中断すべきだ。
見過ごせないのは、政府の方針で毎年度3千億円台を確保するとしていた沖縄振興予算が、2022年度から2年連続で3千億円を割ったことだ。県が辺野古移設に反対しているからだとの見方がある。国の意向に従わせる「アメとムチ」に予算を使っているのであれば許し難い。
基地の整理縮小を求める地元の思いに反し、米軍と自衛隊は、中国抑止の観点から南西諸島の軍事化を進める。米海兵隊は昨年3月、離島防衛に備える海兵沿岸連隊(MLR)をハワイで創設し、25年までに沖縄にも配置するとしている。
ただ、防衛強化がかえって中国の軍事活動を活発化させているとの指摘もある。沖縄が攻撃対象になるのを懸念する玉城知事は3月に訪米し米政府関係者らに基地問題を直接訴えた。4月には近隣国との緊張緩和を図る地域外交室を設けたほか、国連演説なども視野に入れる。
政府は沖縄県に難題の解決を押しつけてはならない。地元との対話を深め、外交努力も重ねて、基地負担の軽減策を探ってもらいたい。








