9日午前8時半ごろ、兵庫県の指定重要有形文化財で三田市が所有する「旧九鬼家住宅」(同市屋敷町)の玄関や出窓、壁などにペンキのようなもので文字などが書かれていると、近くの住民が三田署に通報した。同署が器物損壊事件として調べる。
母屋の玄関扉に直径約1・5メートルの大きさで「死」という文字が緑色で書かれ、利用案内の札などに「×」が入れられていた。三田藩主だった九鬼家の家臣で同住宅を設計した15代当主九鬼隆範(1835~1908年)のパネル写真にも「×」が付けられていた。市によると、内部には書かれていなかったという。
同住宅は隆範が自邸として設計し1876(明治9)年ごろに完成したとされる。和風と洋風のデザインを融合させた擬洋風建築で、1998年4月に母屋と土蔵が県重文に指定された。市は「明治の暮らしを伝える貴重な建物で市民の財産。事件は非常に遺憾だ」とした。