兵庫県三田市の家屋で大麻を営利目的で栽培したなどとして、大麻取締法違反の疑いで、同県芦屋市の建築資材販売業の男(33)ら男5人が逮捕、起訴されていたことが18日、捜査関係者への取材で分かった。同県警が確認した大麻草は1500株を超えるといい、大量の押収となった。
建築資材販売業の男と西宮や芦屋、三田市に住む30代の男ら5人は2020年12月、同法違反罪(営利目的栽培など)で起訴された。捜査関係者によると、阪神間を拠点に大麻草の栽培から密売までを手掛けるグループとみられ、神戸地検はより罰則の重い麻薬特例法違反罪の適用も検討する。
県警は同年10月20日、大麻の栽培と加工の拠点とされる三田市内の建物や、阪神間の民家を一斉に捜索し、販売ルートなども調べていた。
起訴状によると、男らは共謀し、営利目的で同年9~10月、植え付け用の繊維「ロックウール」に根付かせた大麻草の苗を同市内の家屋に持ち込み、水や肥料を与え、照明器具を照射して大麻草を栽培するなどしたとされる。
大麻を巡っては、摘発が年々増加。警察庁によると、20年の大麻事件の摘発者数は前年比713人増の5034人に上り過去最多を更新した。20代が2540人と半数以上を占め、14~19歳が887人に上るなど若者による乱用が目立つ。
また、厚生労働省の統計によると、全国の乾燥大麻の押収量も15年は104・6キロだったが、19年は4倍以上の430・1キロに増加している。
■「パリン、パリン」白昼の捜査員突入、数分で身柄確保
阪神地域北部に位置し、神戸や大阪のベッドタウンとなっている兵庫県三田市の郊外。秋晴れの2020年10月20日昼、ひっそりとたたずむ建物に、兵庫県警の捜査員が次々と突入した。その“大麻栽培工場”は、親子連れらが遊ぶ公園に面した場所にあった。
高さ約3・5メートルの白い塀で囲まれた一角。中には平屋の家屋が2棟見える。公園内では、作業着姿の捜査員が、その家屋の様子をうかがっていた。
塀の中へ何度か男が出入りするのを確認すると、誰かに電話を掛ける。しばらくして複数の捜査車両が周囲に止まった。午後0時45分、突入だ。
手に警棒やチェーンなどを切断する工具を持った十数人が、敷地を取り囲む。さらに数人が、そばのやぶをかき分けて敷地に入った。「パリン、パリン」。窓ガラスが割れる音が響く。
中から扉が開けられると、続々と捜査車両が敷地内に入っていく。既に、栽培関係者とみられる男の身柄は確保されていた。突入からわずか数分だった。
捜査関係者などによると、この三田市の建物内からは重さ10キロに近い大麻草や、小袋に分けられた植物片などが押収された。ほかの拠点も含め、県警が発見した大麻の総量は1日で押収しきれなかったという。









