神戸市中央区の春日野道商店街で2019年4月、対立する特定抗争指定暴力団神戸山口組系組長(67)を包丁で刺したとして殺人未遂などの罪に問われた特定抗争指定暴力団山口組系組員の男(58)と男(54)の判決公判が19日、神戸地裁であった。飯島健太郎裁判長は、実行役の58歳男に懲役11年(求刑懲役14年)、運転手役の54歳男に懲役9年(同12年)を言い渡した。
58歳男は殺意を否定し、54歳男は無罪を主張していたが、飯島裁判長は「致命傷を与えるため、意思を通じ合って犯行に及んだ」と判断。動機は「個人的ではなく、対立抗争を背景にしているのは明らか」と認定した。
量刑理由の説明では、2人が何日も掛けて被害者を監視し、殺傷能力の高い形状の包丁を選ぶなど、計画性の高さを指摘。「組織のために暴力をいとわない暴力団特有の発想が顕著」と述べた。事件後に抗争激化の懸念が高まったことなども「悪質さが際立つ」と厳しく非難した。
判決によると、2人は共謀し、19年4月18日午前0時すぎ、神戸市中央区の春日野道商店街の路上で、神戸山口組系組長を殺そうと背中や尻を包丁で刺すなどし、約1カ月の重傷を負わせた。
公判後、退廷する2人に向かって知人とみられる人物が傍聴席から「頑張ってください」などと声を掛ける一幕もあった。