神戸市北区で２０１０年１０月、高校２年の堤将太さん＝当時（１６）＝が刺殺された事件で、逮捕されたのは当時１７歳の少年の男（２８）だった。現在は成人しているため、刑事司法の手続きは家庭裁判所を介さず、兵庫県警から送検を受けた神戸地検が起訴の可否を判断する。一方で少年法に基づき、男を匿名とする扱いは続く見込みだ。

　少年事件について少年法は、警察や検察が家庭裁判所に送致し、家裁が審判で少年の処遇を決定すると規定。ただし、審判前に成人となった場合は、通常の刑事事件と同様に検察が処分を決めるとしており、起訴されれば地裁で公判が開かれる。その場合は事件当時１８歳未満だったことを理由に、死刑と無期刑を減軽する規定がある。

　今回の事件では、県警が容疑者の男の実名を発表せず、報道機関も匿名で報じている。身元を特定する「推知報道」を禁じる少年法６１条の対象として、「少年のとき犯した罪により公訴を提起された者」が含まれるためだ。地検の処分時も同様に匿名が維持されるとみられる。（那谷享平）