兵庫県淡路市岩屋の沿岸で15日に3人が死亡した水上バイク事故を受け、島内の自治体や住民、関連業者が悩みを深めている。「岸近くを走るのはリスクしかない」などとして法整備を求める声が上がる。
開会中の淡路市会で16日、本会議の冒頭に松本英志議長は「痛ましい事故。引き続き注意が必要」と述べた。
13、15日の一般質問で、議員2人が水上バイクを取り上げたばかりだった。議員らは「海水浴場への進入に市の対応は」「ルール化を県や国に求めては」と質問。門康彦市長は「海水浴シーズンは監視員を配置し、警察などとも連携している。他の期間は難しい。ローカルルール作りなどを視野に、県と連携し安全確保に努める」と答えていた。
同市会は2015年、水上バイク規制を訴える東浦地域の住民団体の請願を採択し、知事に意見書を提出した。住民男性は「県民局にも足を運んだが状況は改善せず、水上バイクは増える一方だった」と話す。同市内の漁業者の男性(71)からは、「漁船が出入りする港付近もお構いなしに走り回る。衝突が起こりかねない。一刻も早い法整備やルール作りを」と悲鳴が上がる。
水上バイク関連の事業者も現状を危惧する。南あわじ市松帆慶野で水上バイクの保管施設「土居オートマリン」を経営する高田のどかさんは「マナーを守る愛好家のためにも法整備をお願いしたい」と力説する。
施設では、利用者向けの自主的なルールとして岸付近を走らないよう定めている。ただ、個人で浜辺などから出航する人までは目が届かない。「水上バイクは沖で乗るもの。岸付近は人を巻き込む以外に、海底の岩などで機体を破損する恐れもあり、リスクしかない」と高田さん。「岸から一定距離内の航行禁止、出航地点の限定という2ルールだけでも法律で設けられれば危険運転や事故が減るはず」という。
また、自転車や単車だとブレーキレバーの部分がアクセルとなっている水上バイクが多く、初心者が間違えやすいといい、運転の注意点として挙げる。(内田世紀、西竹唯太朗)