2020年5月、神戸市兵庫区でマスク着用を促した男性の首に腕を巻きながら転ばせ、首の骨を折る重傷を負わせた事件で、傷害罪に問われた運送業の男(25)の判決公判が17日、神戸地裁であった。西森英司裁判官は積極的な暴行の意思がなかった点を認めたが、「結果は重大で刑事責任は重い」と、懲役3年執行猶予5年(求刑懲役5年)を言い渡した。
判決などによると、男は20年5月31日午後0時半ごろ、同区の駐車場で60代の男性から「マスクせんかい」と注意を受けた。男性も酒に酔ってあごにマスクをしており、口論になった男は、前傾姿勢となった男性の首に左腕を巻き付け、足を掛けて後方へ転倒させるなどした。男性は首を脱臼骨折などし、手足にまひが残る後遺症を負った。
公判で男は「男性に殴られると思って制圧した」と供述。弁護側は正当防衛や過剰防衛を訴えた。西森裁判官は、格闘技経験(空手とキックボクシングなどの計18年)のある被告が暴行を受けても制圧するという姿勢で対応していたとし、「けんかに発展しかねない態度に出た被告に正当防衛、過剰防衛が認められないのは明らか」と主張を退けた。