会員制交流サイト（ＳＮＳ）で知り合った女性に恋愛感情を抱かせ、振り込ませた現金を引き出したとして、兵庫県警や栃木県警などの合同捜査本部は２８日、窃盗の疑いで、カメルーン国籍の派遣社員の男（３２）＝大阪府岸和田市＝を逮捕した。女性はこれまでに約２８００万円を振り込んだといい、捜査本部は国際ロマンス詐欺事件として調べている。

　逮捕容疑は３月２３日、男が管理する口座に振り込まれた金がだまし取られた金と知りながら、神戸市中央区内の銀行ＡＴＭで、現金４２万３千円を引き出して窃取した疑い。

　兵庫県警国際捜査課によると、被害者は徳島県内に住む４０代の女性。２０２１年１１月、女性のＳＮＳのアカウントにイギリス在住の中国人男性を名乗る人物からダイレクトメッセージが届いた。女性は当初、「英語の勉強のため」と思って連絡を取っていたが、「君を尊敬できる」「素晴らしい女性だ」などと巧妙な褒め言葉を掛けられ、次第に恋愛感情が芽生えた。

　同１２月、その人物から「日本に会いに行く」「ダイヤモンドのプレゼントと重要な書類を送ったので受け取ってほしい」と伝えられた。女性は、その後連絡があった運送会社社員を名乗る人物に言われるがまま、荷物の配達費用や保管費などとして現金を送金。同１２月～２２年４月の間に、合計約２８００万円を支払ったという。

　同課によると逮捕されたカメルーン国籍の男は、２１年に別の国際ロマンス詐欺事件に関わった詐欺容疑などで捜査本部に逮捕され、嫌疑不十分で不起訴処分になっていた。

　今年１月、その事件の指示役から「再び電話があった」などと男が兵庫県警に相談したことで、今回の被害が発覚。さらに、女性が振り込んだ現金が引き出されたＡＴＭに設置された防犯カメラの捜査から、男の関与が浮上したという。

　男は捜査本部の調べに対し、「身に覚えがない」と容疑を否認している。