2018年9月に兵庫県を襲った台風21号で、兵庫県西宮市甲子園浜2の中古車オークション会場の車両189台が浸水が原因で燃えるなどした被害で、出品会社2社が当時の運営会社に対し、計約4225万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が20日、神戸地裁であった。植田類裁判官は「契約に基づく注意義務を尽くしたといえない」と計約1950万円の支払いを命じた。
判決によると、原告は中古車販売などを手がける「プログレス」(篠山市)と「ラングローブ」(神戸市東灘区)。18年9月4日、高潮によって、「シティライト」(岡山市北区)が運営する同会場敷地内に海水が流入し、多くの車に被害が生じた。同会場は19年1月に閉鎖された。
判決で植田裁判官は、同会場は18年8月の台風20号でも高潮による冠水が生じ、台風21号はより強い勢力といった情報が出ていた点などを指摘。「冠水被害発生を具体的に予見することは可能」とした。
また、高潮警報発令から6時間以上の猶予があり、「原告らが引き取りの要請を受けた場合は相当数を退避させることが十分可能だった」とし、被告は要請する義務を負っていたと認めた。
一方で、当日の原告らの体制などから、会場からの引き取り要請があっても半分の車両しか退避させられなかったとし、算出損害額の50%を損害賠償額として示した。