4日、神戸港沖の防波堤にパイロットボートが衝突し、男性5人が死傷した事故で、ボートを運航していた内海交通(神戸市中央区)は16日、死亡した船長=当時(52)=の体内からアルコールが検出されたと発表した。同社は今後、神戸地区での運航を自粛するとしている。
事故は、外国船などに乗り込んで港内の誘導業務を担う水先人を運ぶため、沖に向かう途中に発生。船長と水先人(71)が死亡し、50~70代の水先人ら3人が負傷した。神戸海上保安部は業務上過失致死傷などの疑いで調べている。
同社によると、事故後の司法解剖で、船長の体内からアルコールが検出されたと同保安部から報告があったという。同社では出勤時に機器でアルコール検査を行っていたが、記録簿は後日まとめて提出する仕組みだったため、結果を把握していなかったという。
事故を起こしたパイロットボートは通常、船長が操船し、もう一人の船員が乗り降りの補助などを行うという。事故当時、誰が操船していたかについて、同社は「捜査中と聞いている」としている。
同保安部によると、酒酔い状態で操船することは法律で禁止されているが、船舶免許の減点や事業停止などの行政処分のみで、刑事罰はないという。