神戸市長田区で店舗兼住宅に火を付けたとして、兵庫県警捜査1課と長田署は5日、現住建造物等放火の疑いで、同区の会社員の男(37)を逮捕した。同区内では11月中旬以降、国道2号付近の半径500メートルの範囲で少なくとも9件の不審火が確認されている。男は「ほかにも数件やった」と話しているといい、同署などが関連を調べる。
逮捕容疑は11月15日午後4時半ごろから同9時10分ごろの間、同区長楽町4の店舗兼住宅の裏に置かれていた石油ストーブや灯油タンクなどに火を付け、鉄筋コンクリート造り2階建て建物の壁の一部(約4平方メートル)を燃やした疑い。調べに容疑を認めているという。
同署によると、火災の発生前後に男と特徴のよく似た人物が周辺を歩いている姿が、防犯カメラなどに映っていたことから容疑が浮上した。
燃やされた灯油タンクは店舗の関係者が乾燥させるため屋外に置いていたもので、灯油は入っていなかった。男は「(火を付けるのに)ライターを使った」と供述しているという。同署は建物の所有者(84)や店舗の関係者とは面識がなかったとみている。
同署などによると、同区南部の国道2号近くなどでは、10月中旬から民家の雨どいやごみ袋が燃える不審火が多発。11月15日夜から16日にかけて集中した。いずれもけが人はなく、エアコンの室外機やほうき、郵便受け内の物などが燃えた。
現場近くの防災福祉コミュニティーの本部長を務める男性(75)は「周辺には市場があり、長屋も多い。大規模な火災になる可能性もあったので容疑者が逮捕され、本当に良かった」と話した。