阪神電鉄西宮駅の商業施設「エビスタ西宮」(兵庫県西宮市田中町)に阪神バスの路線バスが突っ込み、女性2人が軽傷を負った事故で、運転手が急ブレーキを避けて旋回した際、誤ってアクセルを踏んだという趣旨の説明をしていることが阪神バスなどへの取材で分かった。事故は20日で発生から1週間。バスに自動ブレーキや、衝突の危険を伝える警報装置は搭載されていなかった。
事故は13日夕に発生。1階飲食店のガラス壁にバスが突っ込み、70代の女性2人がともに頭部をけがした。西宮署は自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで現行犯逮捕した運転手の男(59)=尼崎市=を釈放し、任意で事情を聴いている。
阪神バスによると、運転手の男は社内調査に対し「旋回時にアクセルとブレーキを踏み間違えた」などと説明。同署はロータリー内の停留所で止まろうとしたが十分に減速できず、旋回して速度を落とそうとした際に誤操作したとみている。バスは2009年8月に車両登録され、今年10月末の工場点検、当日の出庫前点検でも問題はなかった。
警報装置はJR三ノ宮駅前で19年に神戸市バスの路線バスが歩行者2人を死亡させた事故を受け、同市バスや一部のバス会社が搭載を進めているが、阪神バスは導入していなかった。また国土交通省によると、自動ブレーキについては、高速道路などを走る総重量12トン超の大型バスに装備が義務付けられているが、路線バスは乗客の転倒につながる恐れがあるとして対象外という。