神戸市兵庫区の宝飾店に男が押し入り、ハンマーで襲われた従業員が重傷を負った事件で、兵庫県警捜査1課と兵庫署は9日、強盗殺人未遂と建造物侵入の疑いで指名手配していた同県加古川市の無職吉岡隼人容疑者(32)を神戸市内で発見し、逮捕した。事件4日前の3日夕にも同県姫路市内の質店で強盗事件があり、発生状況が似ていることから県警は関連があるとみて調べる。
逮捕容疑は7日午後5時半過ぎ、神戸市兵庫区上沢通8の宝飾店にハンマーを持って押し入り、男性従業員(50)の顔を複数回殴打。頭や顔の骨を折る全治2カ月の重傷を負わせた上、ショーケースをたたき割ってネックレスなどの貴金属類を奪った疑い。「私はやっていません」と容疑を否認している。
捜査関係者によると、兵庫区の事件では長さ20~30センチのハンマーが使われていた。3日に発生した姫路市の事件でも質店に押し入った男が、店員に突き付けたのがハンマー様のものだったといい、店内の貴金属類が奪われた。
いずれの事件も人通りの少ない場所の店舗に男が1人で押し入っており、発生時刻も夕方、店内に店員が1人でいる時と、状況がほぼ共通していた。
兵庫区の事件後、周辺の防犯カメラの映像などから吉岡容疑者が浮上。同種の強盗事件が連続発生したことから、県警は8日に公開手配をかけていた。
9日午前9時20分ごろ、現場から約4キロ東に離れた神戸市中央区磯上通7のコインパーキングで、吉岡容疑者が駐車中のレンタカーの中にいたのを、捜索中の捜査員が見つけた。
逮捕後、このコインパーキングには報道陣が詰めかけ、吉岡容疑者が乗っていたとみられる車を捜査員がブルーシートで覆うなど、一帯は物々しい雰囲気に包まれた。
近くで働く団体職員の女性(47)は「こんなにそばにいたのかと思うと怖くてしかたない。とにかく捕まって良かった」と驚いた様子で話した。