東京五輪聖火リレーの県内公道での走行中止が発表され、24日に予定していた兵庫県三田市内のイベントも取りやめが決まった。「2年間準備してきたのに」「本当に残念だけど、やむを得ない」-。関係者や市民からは、新型コロナウイルスの感染拡大が続く現状での判断に理解を示しつつ、惜しむ声が上がった。(土井秀人、小森有喜、喜田美咲)
「三田市開催まで あと14日」。市役所前には10日、聖火到着までの日数を数える懸垂幕がこう知らせていた。市内では市総合文化センター・郷の音ホール(天神1)を出発し、市役所前の広場で聖火を次のランナーにつなぐ「トーチキス」などのイベントを行う予定だったが、すべて中止となった。
「本当に残念だけれど、人の命が優先」と話すのは、趣味で陸上競技に取り組む市内のパート女性(50)。コロナ下で聖火リレーが開催されることに不安を感じていたといい、「これだけ感染が広まって病床もひっ迫している状況では、中止もやむを得ないと思う」とした。
関西学院大3年の女子学生(21)は「高知の実家の横を聖火リレーが通ったと家族から聞いており、三田につながるなら感慨深いと思っていた。とは言え、大学では昨年からリモート授業に切り替わっていただけに、判断が遅かったのでは」とした。
市の担当者は「ルート概要が発表されてから2年かけて準備を進めてきただけに残念。一生に一度あるかないかのイベントで、これを機にスポーツを盛り上げたいと考えていた。コロナの状況を考えると仕方ないが、つらい」とした。市役所前の懸垂幕は、11日午前に撤去される予定。